修徳の強さの秘密 主将DF14島田侑歩が語ったファミリーの意味
今回、第102回全国高校サッカー選手権東京予選のBブロック決勝に勝ち上がった修徳の強さは何か?そのひとつに人間関係の濃さにあるようだ。 【フォトギャラリー】修徳vs大成 「円陣のとき、ファミリーという言葉が出ます」そう話すのが主将DF14島田侑歩。 「(修徳)中学から高校にあがってきている選手や小学校や中学で知り合った選手も多くいるので、第2の家族のようなものです。なので、それほど多くは話さなくてもわかるところまで来ている。ファミリーという言葉があいますね」と答えた。 時間の長さと濃さによって、互いに何もいわなくても、ある程度、通じ合っている、その事象が準決勝・大成戦で表現された。 前半20分、2点目となったシーン。DF14島田のクロスから最後、FW10田島慎之佑のゴールがまさにそれだった。 「トラップした時点でGKとDFのあいだにスペースがありました。誰が走ったかは覚えていませんが、(FW10田島)慎之佑か(MF11 大道)響道が走っているかなと思った。少し早いクロスをあげたら、慎之佑が決めてくれた。あれこそなにも言わずにわかっている関係性で生まれたゴールでした(DF14島田)」 そうした関係を補完するのが『ピッチ内のコーチ』と呼ばれる島田の役割。 「ほかの人よりサッカーへの理解や表現、伝える部分では主将なので伝えるよりうまいかもしれません」と話した島田は「サッカーは正解がいろいろあります。なのでベストな選択をしなくてもうまくいくことはあります。なので、これが正解と押し付けるのではなく、あくまで提案してその人の判断に任せています。少しでも選択肢を与えるコーチングを意識しています。ただどうしてもミスリードも出てきます。伝えたけど違ったかと・・・でも、いろんな経験をしてきたので、言えば、迷うよりいい選択になるコーチングにはなってきています」 その一端が見えたのが、28分、失点直後の光景。 「一度みんな集まって、もう一度、気持ちを合わせました。なのでブレずにできました」とDF14島田。 後半、特に終盤、大成の猛攻を受けながらもほぼ決定機を作らせなかったのは、こうした選手間のつながりの強さにありそうだ。 これは選手同士だけでない。監督・選手のあいだも同じ。やはりはチームは監督を含めたファミリーだ。 修徳で就任3年目の吉田監督。修徳中学からの教え子が多い、いまのチームは選手層が厚く、ベンチにもレギュラークラスが揃っている。それだけに起用への逡巡は絶えない。 「きょうピッチに立たせてあげられなかった選手がほかのチームだったら、ピッチに立っているだろうかなという罪悪感が強い」と吉田監督。 約12分間の囲み会見では自身のほとばしる熱情の行き場に困っているのではないか思えるほど、現チームへのひときわ思い入れの強さを感じた。 「すべてのゲームにおいてたくさんの選手を出し、経験させました。ほぼ全員の選手が、スタメン経験、あるいは出場経験しています。誰が出ても大丈夫。総合力は高くなっています」とチームの成長を感じている。 吉田監督の熱情と選手間に通底する人間関係をベースにした あ・うんの呼吸。これらに基づいたチームのファミリー感が強さの根っこ。 堀越との決勝戦は熱い試合となりそうだ。 (文・写真=佐藤亮太)