名護で「多頭飼育崩壊」か 犬や猫のふん害、鳴き声…住宅街で問題に 沖縄
名護市の住宅街で、一部住民が仕切りのない敷地で複数の犬・猫を飼っており、ふん害や鳴き声が問題となっている。 【現場写真】仕切りがなく、ゴミも散乱する敷地内で飼われている犬たち 名護署や行政機関が対応に当たっているが、飼い主の60代男性は「最後まで世話をしたい」と飼い続ける考えを示している。周辺住民からは「うるさいし、どうにかならないのか」と改善を望む声が聞こえる。 男性は自宅敷地内で5匹の犬を飼っている。9月中旬までは9匹おり、数匹は敷地外をうろつく様子も確認できた。その後老衰や病気で死ぬなどして減ったという。男性によると、別の地域では現在、約40匹を飼っているという。以前はこの地域で50匹以上を飼っており、男性や動物愛護に関する関係機関によると、2008年にはほとんどの飼い犬に狂犬病ワクチンを接種させていなかったとして、狂犬病予防法違反で摘発されていた。 男性は当時について、去勢手術を受けさせなかったことや他人から保護したことが理由で匹数が膨れ上がったと説明。いわゆる多頭飼育崩壊を引き起こしていた。周辺住民からほえ声などの苦情もあったという。 男性に対して、南城市の県動物愛護センターは2008年から適正飼育を求めて、指導を続けている。指導は動物愛護管理法の7条(動物所有者、占有者の責務)と37条(犬・猫の繁殖制限)に基づき行っているが、同条項には罰則の規定がなく、実効性のある解決手段となっていない。センター職員によると、若干の改善は見られるとしながらも「粘り強く対応するしかない」と話す。直近では19年から24年11月までに、計20回面談を実施したという。 県は「県動物愛護管理条例案」を11月の県議会定例会で提案。20日に可決された。同条例では多頭飼育崩壊の未然防止を図ろうと、犬・猫を合わせて10匹以上飼う飼い主に県への届け出を義務づけ、違反した場合には5万円以下の過料を科す罰則を設ける。県の担当者は「情報を集約することで未然防止につなげたい」と期待を込める。また、人に危害を加える恐れがある動物が逃げた時の通報も義務づけられ、違反すると5万円の罰金(刑事罰)を科す。 一方で多頭飼育崩壊の現場などで飼い主の対応などに当たっている行政職員は「過料が安すぎると感じる。より重い過料を設定したり、犬や猫を没収したりできるようにして、違反したくないと思わせないと」と指摘し、より問題解決に実効性のある罰則を定めることを求めた。