【全宅ツイ座談会】2024年のマンション価格はまだまだ上がる?! 不動産市況はどうなるのか?(後編)
不動産業界に一般人が食い物にされているさまを分かりやすく描いた漫画『正直不動産』(小学館「ビッグコミック連載中」)が、2022年に続き2024年1月から再び『正直不動産スペシャル』『正直不動産2』としてNHKでドラマ化される。合わせて公式副読本[不動産業者に負けない24の神知識-『正直不動産』公式副読本-](著者:全宅ツイ)も発売された。今回は出版を記念して、著者の全宅ツイメンバーに座談会形式で、2024年の不動産市況やマンション価格などについて聞いてみた。 【座談会前編」不動産売買における神知識とは?! 【座談会メンバー(全宅ツイ)】かずお君(@kazuo57) 1000坪の高齢者施設から3坪の店舗まで、幅広く対応する土地活用ブローカーどエンド君(@mikumo_hk) 中古アパートを中心に複数の物件を持つ不動産投資家あくのふどうさん(@yellowsheep) 金融機関からの借り入れの調整を得意とする不動産ブローカー東サンドバッグ(@crunch_hudosan) 加工難易度が高い物件の情報が集まる「物件の最終処分場」にのみや(@everyday_kumite) 神宮前不動産で毎日組手をしている不動産経営者 ※「全宅ツイ」とは、数百億円の不動産を取引する不動産ファンドの社員から、ルノアールにたむろする無免許ブローカーまでを会員に擁する、不動産業界最大のX(旧 Twitter)集団。業界の裏事情から社会風刺まで、歯に衣着せぬつぶやきで人気を集めている。
2023年、不動産業界の話題はオープンハウス
――ここからは、2023年の不動産業界を振り返りたいと思います。 エンド オープンハウスは「行こうぜ1兆円!」って目標にしていたけど、本当に達成して「行ったぜ1兆円!」になっちゃった。 かずお 文春オンラインでは施工不良やパワハラが報道※されたけど、ほとんど影響なかったね。 あくの ただ、あれだけ大量の新築現場があると、多少の施工不良は出てくるものでしょう。そういう家に当たっちゃった人が怒るのは分かるけど、会社全体として施工管理が悪いという評判はないよね。 東 僕は建築請負でお付き合いありますけど、コストは安いけど、施工に問題はないですよ。うまくローコストをやっている印象です。 あくの あとは、営業も仕入れも属人性を排して、仕組みを作って回しているのは凄い。普通はあそこまで徹底できない。そういう側面はあんまり取り上げられてないけど。 エンド プレサンスコーポレーション※と三栄建築設計※を買収して、巨大化した側面はありますよね。いろんなことがオープンハウスに転がり込んでくるようになった、そういう運もある。 かずお 間違いなく運も味方した。でも、本体というか本業も伸ばしたのは間違いない。海外での不動産販売事業も売り上げが膨らんでいる。そういうところに売り上げを求めて、実際にやり切るのは、すごいと思うけどね。 あくの ここまでの大勝ちにはやはりフロック(まぐれ)もあると思うよ。これから、今までの勝ち筋を再現できるのかはわからない。 東 私は戸建てのマーケットにいるので、競合するのはオープンハウスと三栄建築設計が多かったんですけど…まさか一緒になる世界線があるとは想像できませんよね。 エンド でも、この業界はたたけばホコリが出る会社は多いから…。これからもMA市場の覇者として立ち回るかも。 あくの でも、本業の戸建て市場にそれほどマーケット拡大余地があるわけではないでしょう。戸建て住宅の回転も目に見えて悪くなっているし、そもそも東名阪くらいしか狭小住宅の優位性はないわけでね。荒井さん※の星を継ぐものがいるのか?という疑問がある。 かずお 一代でのし上がった社長にお決まりの、海外リゾートとかやり出す雰囲気はない。普通に海外でも戸建て住宅開発しそう(笑)。東さんとか、オープンハウスに転職しようと考えることはないですか? 東 全くないですね。あそこは教育体制もしっかりしているから、ある程度、自分の営業スタイルみたいなのがあるとなじむのが難しいと思います。 ――戸建て市場が飽和気味という声もありますが、オープンハウスはマンションにこれまで以上に力を入れるんでしょうか? あくの あそこのマンションを見るとカラオケ館を思い出しますよ。木目とか大理石とかのダイノックシート(建材用化粧フィルム)が大活躍していて、高級感あるけど、高級素材は使っていないという。それがローコストというものなんでしょうけどね。 東 カラオケ館(笑)。地下をがっつり掘って敷地を目いっぱいまで使ったギリギリのマンションを作っていますね。 かずお でも、はなから本物志向の人には訴求していないでしょう。あそこのマンションで気になるのは、パツパツの間取りが多いこと。よく言えば、効率的だけど、悪く言えば遊びがなさ過ぎる。子どもが増えるとどうする? みたいな疑問が湧く間取りなんですよ。それと、今以上に建築費が高くなればスケールメリットも出せない小規模マンションは、本当に利益が厳しくなるでしょう。今も十分、厳しいはずだけど、1棟あたり20~30戸のマンションをまだやり続けていて、それで供給戸数で業界1位というんだからたいしたものなんでしょうね。 <用語解説> ※施工不良やパワハラが報道:(参考:「住民が連続告発「キッチンの床が傾いて冷蔵庫が閉まらない」オープンハウスの“欠陥住宅トラブル”写真」「椅子を蹴って「辞めれば?」「クソ弱すぎる」オープンハウス執行役員(41)のパワハラ・暴言〈音声入手〉」) ※プレサンスコーポレーション:プレサンスコーポレーションは、投資家向けワンルームマンションの開発で知られる事業者。2019年12月、創業社長の山岸忍氏が業務上横領の疑いで逮捕された後、オープンハウスによって買収された ※三栄建築設計:2023年6月に創業者社長の小池信三氏が暴力団組員へ利益を供与したとして、東京都公安委員会から排除勧告を受け、その後オープンハウスによって買収された ※荒井さん:株式会社オープンハウスグループの代表取締役社長