58歳独身女性が実家の売却で1000万円以上得をする…意外なほどシンプルな方法
悲しくとも、避けられない親の死……残されたものが考えなければいけないのが相続の問題です。手元に残る財産をなるべく減らさないためには、どのような選択を取るのがよいのでしょうか。相続対策のサポートを専門とする会社・夢相続の曽根恵子さんが、父親が亡くなり、相談に来た50代独身女性Sさんのケースから、相続に関する疑問を紐解いていきます。 【マンガ】夫の死後、5200万円を相続した家族が青ざめた…税務署からのお知らせ 父親の財産は、自宅6000万円と貸家8000万円の2か所の不動産と金融資産3000万円で、その総額は1億7000万円になりました。現在、Sさんはマンションを借りていて、実家に暮らす78歳の母親とは別々に暮らしています。母親は今のところは何の問題もなく1人暮らしをしていますが、介護が必要になれば自宅を売って、老人ホームへ入居することを考えている、といいます。 記事前編は「不動産は絶対に『空き家のまま放置』しないほうがいい、と言える『これだけの理由』」からお読みいただけます。
二次相続に備える
仮に母親が全財産を相続し、母親の独自の預金2000万円も足したところで、二次相続の相続税額を試算してみました。 父親から相続した財産1億7000万円と預金2000万円を合わせた1億9000万円から引ける基礎控除は3600万円だけ。相続税は4460万円となり、やはり負担が大きいと言えます。 また、母親はいずれ自宅を売却して、老人ホームへ入所したいということですので、売却時の譲渡税も合わせて考えると、母親一人で売却するのではなく、Sさんも相続して同居したうえで、売却するほうが譲渡税が少なくできるのです。 よって、母親の二次相続を見据えた相続の仕方とその後の母親の節税対策も合わせて検討してご提案しました。
自宅を売却するときは特例が使える
不動産を売却して利益が出ると、その額に応じて税金がかかります。自宅の土地、建物も同様です。けれども、自宅は生活をするところで、住み替えが必要になりますので、税金の負担が軽減できる特例があります。 マイホームを売却したときの税金を大幅に抑えられる制度として「居住用財産を譲渡した場合の3000万円の特別控除の特例」、いわゆる「3000万円特別控除」があります。この特例では、マイホーム(居住用財産)を売ったとき、所有期間の長さに関係なく、譲渡所得から最高3000万円までを控除できます。 売却する自宅を夫婦や親子で共有しているときには、それぞれ3000万円まで、合わせて6000万円まで控除することができます。ただし、実際に自宅として住んでいなければならず、名義だけ共有していて、別の場所に住んでいるということでは、適用できないのです。現在、Sさんは別のところの賃貸マンションに住んでいますので、そのままでは特例は使えませんが、売却するまでに同居しておけば特例を使うことができるのです。