続発する「ローンオフェンダー」犯罪をどう防ぐか――岸田首相襲撃に見る日本の危機管理
繰り返された要人襲撃事件
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令和5年4月の統一地方選挙、和歌山1区補選の演説会場において岸田文雄首相が手製の鉄パイプ爆弾により襲撃された。この爆弾が投擲後すぐに爆発する仕掛けであれば、また火薬がTNT火薬など威力の強いものであれば、首相をはじめ多くの死傷者が発生しただろう。そうではなく殺傷力の低い手製爆弾であったことは不幸中の幸いに違いない。このような状況では、爆弾を会場に持ち込ませたこと、投げさせたことだけで要人警護は失敗なのである。 昨年7月、奈良市で 安倍晋三元首相が山上徹也容疑者に殺害された銃撃事件 も同様に選挙における地方遊説中の事件であったが、それまでの警察庁、都道府県警察の要人警護のあり方が批判され、計画と運用が抜本的に改革された矢先の現役首相襲撃事件であった。安倍元首相銃撃事件の際にも筆者は新聞やテレビの取材で、そして拙著『 政治と暴力 』の中で、現在の警察の要人警護のあり方、テロ対策のあり方を批判し提言したが、そうした提言や警察が発表した改革案は全く実行されていないことが明らかになった。
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福田充