郷土思い最速昇進へ 大の里「良い結果届けられた」
「石川の思いも背負って闘った。良い結果を届けられた」。石川が誇る大器が大関に完勝し、13勝1敗で2度目の幕内優勝を果たした。大相撲秋場所14日目の21日、大の里は2大関を含む三役5人を撃破し、非の打ち所のない成績で大関昇進を確実にした。9場所での大関昇進は昭和以降で最速。土俵上で無心を貫く若武者は、胸の内に「ふるさと・石川」への熱い思いを抱いて大一番を闘い抜いた。 【写真】豊昇龍(手前)を攻める大の里。押し出しで破る 部屋を出る前、能登に大雨への警報が出ていることを知った。両国国技館に入ってからは切り替え、目の前の一番に集中。土俵入りでは、津幡町後援会から贈られた「火牛(かぎゅう)の計」をモチーフにした化粧まわしを着用し、地元への思いもにじませていた。 「暗いニュースがあり、大変な状況の中、自分の優勝で、少しでも石川の皆さんに明るい話題を届け、元気付けられたなら良かった」。優勝が決まった支度部屋で大の里がかみしめるように語った。 2月には遠藤や輝とともに、奥能登や祖父が身を寄せていた内灘町を訪問。6月にも二所ノ関親方(元横綱稀勢の里)と金沢市内の避難所を訪れ、被災地への思いも強く持つ。「土俵の上で勝つことが一番大事」と胸に刻み、一日一番に臨む。 「明日勝って締めくくりたい」。気を引き締め直し、千秋楽の土俵に向かう。 ●「能登対決」輝に軍配 東前頭8枚目の遠藤と西前頭11枚目の輝の「能登対決」は先場所に続いて輝に軍配が上がった。 輝は大雨に見舞われた故郷を心配しながら「相手も能登だったので、正々堂々と闘う姿を見せられて良かった」と話し、遠藤は「状況が分からないが、大丈夫なことを願う」と語った。 輝は3日目からの連敗を11で止めて2勝目。遠藤は6敗目を喫した。 ●欧勝海、大翔丸下す 西十両14枚目の欧勝海は東幕下5枚目の大翔丸(金沢学院大附属高OB)を寄り切って6勝目を挙げた。 ●炎鵬6勝、三段目へ 西序二段31枚目の炎鵬(金沢市出身、金沢学院大OB、伊勢ケ浜部屋)は西29枚目の冨蘭志壽(ふらんしす)(式秀部屋)を押し出し、6勝1敗で場所を終えた。来場所は三段目に昇進する見通し。