野村HD社長の報酬5億円と過去最高-ホールセール部門長17億円
(ブルームバーグ): 野村ホールディングスの奥田健太郎社長の前期(2024年3月期)報酬額は前の期比31%増の5億600万円だった。一方、ホールセール部門長のクリストファー・ウィルコックス氏の報酬は奥田社長の3倍を超え、17億3400万円(1200万米ドル)と日本企業では破格となった。
同社が26日提出した有価証券報告書で明らかになった。奥田氏の報酬の内訳は、固定給が現金1億200万円と株式報酬1740万円、業績連動報酬は現金賞与1億8370万円と株式関連報酬2億290万円。固定給は前の期と同額だったが、業績連動報酬が伸びた。
野村HDの前期決算は、日本株の好調などを背景にリテール部門が業績をけん引し、20年4月に奥田社長が就任してから初めて通期ベースで増益を達成した。こうした中で同氏の報酬は開示義務が適用されて以降、経営トップで過去最高となった。これまでは17年3月期の永井浩二社長の4億3000万円が最高だった。
ウィルコックス氏の報酬内訳は現金1億840万円、株式報酬960万円、現金賞与6億7580万円、株式関連報酬9億4060万円。執行役として過去最高となった。同氏の執行役就任は22年10月だったため前の期(半年分で7億4490万円、550万米ドル)と単純比較はできない。
奥田社長の前期報酬額は金融機関トップの中でも目立つ。三菱UFJフィナンシャル・グループの亀沢宏規社長の報酬は3億3900万円。大和証券グループ本社の中田誠司前社長(現会長)が2億8700万円だった。野村のウィルコックス氏の報酬額はトヨタ自動車の豊田章男会長の16億2200万円を上回った。
野村HD広報担当の江本恵美氏は、報酬の水準と体系について「優秀な人材を確保・維持し、動機付け、育成するため、個人の役割や責任、国内外それぞれの報酬規制・水準などを加味したもの」だと述べた。
野村HDの前期純利益は前の期比79%増の1659億円。年度当初に500円台だった株価は年度末には900円台まで上昇した。こうした中で、経営トップら執行役の報酬総額は、前の期から大幅に引き上げられた。