ヘルマン・ヘッセの人生に川村毅✕麿赤兒✕大空ゆうひが挑む
ティーファクトリー✕吉祥寺シアターによる舞台『ヘルマン』が1月18日(木)、吉祥寺シアターにて開幕する。 【全ての写真】ヘルマン・ヘッセの人生に川村毅✕麿赤兒✕大空ゆうひが挑む 川村毅が麿赤児を主演に迎え、シェイクスピアのリア王を『荒野のリア』として上演したのが2014年のこと。いきなり第三幕からはじまる、三人の娘が登場しない、上演時間をぎゅっと100分に凝縮するなど、型破りでありながら原作通りというこの作品は大きな反響を呼び、2016年には全国で再演された。 それから8年。川村と麿の組み合わせが次に挑むのは20世紀のドイツの作家、ヘルマン・ヘッセ。多くの日本人にとっては「『車輪の下』だけは読んだ」あるいは「国語の教科書で読んだことがある」程度の知識とイメージで留まっている作家かもしれない。しかし、舞台化するにあたって改めて他の作品を読み進めた川村はヘッセのことを「正真正銘の純正アウトサイダーとして、社会生活という困難を生き抜いた闘士だ」と捉え直している。 この公演は、川村にとって久々のポスト・ドラマとなる。「ひとつの小説の脚色、劇化の手法は取らず、複数の小説からのイメージ、さらに俳優の身体性、映像を使用しての、ポスト・ドラマとしてヘッセを蘇らせようと思う」とコメントを寄せているとおり、単一の小説の世界を描いたり、ただヘッセの人生を追うというものではなく、多角的かつ多層的にヘッセの人生と小説に迫っていくものになりそうだ。 晩年の深夜、ヘルマンが小説作品のフラグメント、人生の断片を想うという劇構造。麿が演じるのは、そのヘルマン役。ヘルマンの夢の中で問いかけ続ける存在に扮するのは大空ゆうひ。ヘルマンの青年時代は横井翔二郎が演じる。 今年はヘッセの何かしらの周年というわけでもなく、ヘッセににわかに注目が集まっているわけでもない。そんなタイミングだからこそ、彼の人生と小説を舞台に立ち上げるにあたっては、公演に関わる人たちの強い思いがあるに違いない。そしてその作品には、きっといま上演する意味が、そしていまを生きる私たちへのメッセージが込められているだろう。舞台からそのメッセージを受け取るのを楽しみにしたい。 文:釣木文恵 <公演情報> ティーファクトリー/公益財団法人武蔵野文化生涯学習事業団提携公演 『ヘルマン』 構成・演出:川村毅 出演:麿赤兒 大空ゆうひ 横井翔二郎 鶴家一仁 村井友映 朝田百合子 小林彩 キクチカンキ 灘波愛 和田華子 村松えり 笠木誠 2024年1月18日(木) ~1月28日(日) 会場:東京・吉祥寺シアター