災害ボランティア「もっとやれるのに…」 能登まで6時間、活動は2時間 いまだに渋滞懸念で個人の来訪受け入れられず
■被災者のニーズ高いが限られる活動の幅
能登半島地震被災地でのボランティア活動を希望する人は長野県内でも多く、被災者からのニーズも高いが、主要道路の被害は大きく、渋滞の懸念もあるとしてボランティアの活動の幅が限られているのが現状だ。被災自治体や災害ボランティアセンター(ボラセン)は個人ボランティア受け入れに踏み切れず、現地で活動するボランティアらからはもどかしさを訴える声も上がっている。 【写真】活動時間が限られ倒れたタンスの片付けははできなかった
■ボランティアは事前登録者のみが対象
3日午前10時過ぎ、石川県七尾市のホールに開設された市ボラセン。バスで到着した全国各地のボランティア約40人の中に、東筑摩郡生坂村のブドウ農家滝沢学さん(40)の姿があった。
石川県は地震発生後、事前登録者のみを対象にボランティア活動の申し込みを受け付け、1月下旬以降、半島中部の志賀町や北部の輪島市で災害ごみの片付けや運搬をしてもらっている。
■食器棚を運び出し割れた食器類を仕分け
滝沢さんはこの日、村内で里山整備を続ける団体のメンバー2人と共に参加。ボランティアの派遣依頼があった市内8世帯に、それぞれ5、6人のボランティアがバケツやほうきを手に向かった。滝沢さんは築50年余の木造2階建て住宅へ。午前11時過ぎに到着し、食器棚の運び出しや割れた食器類の仕分け、柱やガラス片の搬出などの作業を、1時間の休憩を挟んで午後2時まで行った。
生坂村から約6時間かけて駆け付け、活動できたのは実質2時間に満たなかった。倒れたままのタンスや割れたコンクリート片の搬出は、被災者が事前に依頼した内容に含まれていなかったこともあり、手を付けられなかった。里山整備で重機も扱う滝沢さんは「正直もっとやれることがある」とこぼした。
■ボランティア受け入れ枠を増やしたが…
七尾市ボラセンが受け付けた被災者からのボランティアの派遣依頼は15日時点で1202件。1月27日の活動開始以降、15日までに活動を終えたのは、このうち291件にとどまる。被災者からの依頼は増加傾向で、1日当たりのボランティアの受け入れ枠を3日には40人に倍増、10日からは80人に増やした。