本陣主屋でイタリア料理、新たな物語へ 江戸期の建物を改修のレストラン、小諸市で23日に開店
長野市の善光寺門前でレストラン兼結婚式場を運営する藤屋(長野市)は、小諸市大手門公園の一角で、市が所有する小諸宿本陣主屋(おもや)を改修したイタリア料理店「KOMORO HONJIN OMOYA(コモロ・ホンジン・オモヤ)」を23日に開店する。14日には開店記念式典を開いた。藤屋は「御本陣藤屋旅館」が前身。牛に引かれて善光寺参り伝説の発祥地・小諸と善光寺を結ぶ北国街道沿いの二つの本陣がご縁で再びつながった―とし、「新たな物語を紡ぎ出していきたい」と意気込んでいる。 【写真】イタリア料理店として生まれ変わる「小諸宿本陣主屋」
小諸宿本陣主屋は、18世紀末から19世紀初頭の建築とされる豪壮な木造平屋建て。料理店は古材を生かしつつメインダイニング正面に大きなワインセラーを設置、現代風で落ち着いた空間に改修した。バーカウンターなどと合わせ計81席。地域の食材や小諸市産を中心にした各国のワインを提供する。価格はランチのパスタコース2800円、ディナーコース6500円など。
小諸宿本陣主屋は重要文化財「旧小諸本陣(問屋場)」(市町(いちまち))の隣にあったが1878(明治11)年、佐久市の桃源院に移築。同寺から寄贈を受けた小諸市は、元々あった場所に近い大手門公園に移し、1997年から昨年度まで歴史資料館と貸しスペースとして活用した。
飲食施設への転換を目的に民間誘致を行い、同社と今年7月に設置・使用契約を結んだ。総事業費1億395万円のうち、国・市が計2720万円を負担した。
「御本陣藤屋旅館」は江戸時代、加賀百万石・前田家藩主の定宿。小諸市教委は7月、保存修理工事中の旧小諸本陣で、宿泊客を紹介する藤屋旅館からの手紙を発見。昔からつながりがあることが分かった。藤屋は新店の玄関に、小諸―長野間を歩く牛を図案にした鏡を制作し、飾った。布引伝説は現在の同市大久保の布引観音(釈尊寺)が基になっている。 藤屋の藤井大史郎社長(52)は「藤屋の『不易流行』の理念を大切に、この街になじんでいけるよう努めていきたい」とあいさつした。