高市早苗氏はいつ「タカ派政治家」になったのか…「ポスト石破」に一番近い女性政治家の"克服すべき弱点"
■「初の女性首相」誕生はまだ先? 今後、果たして石破内閣がどこまで支持率を回復させられるかにもよるが、たとえ石破氏が辞めてもそう簡単には高市氏にはお鉢は回ってこないだろう。総裁任期途中で交代する場合は両院議員総会で決めるので、もともと石破派のほうが多いし、さらに衆院選の結果、清和会などの勢いは大きく後退している。 冒頭でも触れたが、ハリス副大統領でなくトランプ元大統領が返り咲いたことは、高市氏にとっては幸運だった。ハリスが大統領になった場合、靖国神社参拝などしたらハリス政権が中韓の肩を持ちそうで非常に苦しいことになる可能性があった。 とはいえ、対トランプであっても、外交経験の多い林、茂木、加藤氏らのほうが安心できる。トランプ氏は保守派であれば喜ぶという単純な人ではないから、戦争認識を巡ってうまくいかないリスクも大きかった。 ■勇ましい言葉を封じ、イメージチェンジを 高市氏がこうした状況を克服するためにはどうすればいいか。まずは、海外に出て会談や演説を重ねるなどして国内外の外交関係者を安心させることだ。また、国内でも党内の石破支持派や公明党との関係を改善させることだ。APEC首脳会議やG20サミットでの石破首相の不慣れから来る失態を繰り返すべきでない。 そのためには、勇ましい言葉は無用である。優秀な参謀の助言をよく聞き、一般の女性などから「怖そう」とか言われないよう、言葉遣いや服装なども含めて、イメージチェンジしたほうがいい。 その時、参考になるモデルを挙げるならば、サッチャーでなく、イタリアで極右出身ながらイメージチェンジに成功したメローニ首相だろう。 ---------- 八幡 和郎(やわた・かずお) 歴史家、評論家 1951年、滋賀県生まれ。東京大学法学部卒業。通商産業省(現経済産業省)入省。フランスの国立行政学院(ENA)留学。北西アジア課長(中国・韓国・インド担当)、大臣官房情報管理課長、国土庁長官官房参事官などを歴任後、国士舘大学大学院客員教授を務め、作家、評論家としてテレビなどでも活躍中。著著に『令和太閤記 寧々の戦国日記』(ワニブックス、八幡衣代と共著)、『日本史が面白くなる47都道府県県庁所在地誕生の謎』(光文社知恵の森文庫)、『日本の総理大臣大全』(プレジデント社)、『日本の政治「解体新書」 世襲・反日・宗教・利権、与野党のアキレス腱』(小学館新書)など。 ----------
歴史家、評論家 八幡 和郎