ダルビッシュ有、日米通算200勝へ王手 全て先発での到達なら史上初の快挙も「なるべく忘れて」
【サンディエゴ(米カリフォルニア州)12日(日本時間13日)=久保賢吾】 パドレス・ダルビッシュ有投手(37)が、7回2安打無失点の好投で今季3勝目を挙げ、日米通算200勝へ王手をかけた。 強打のドジャース打線を相手に5回2死までパーフェクト投球。この日は母の日で妻、子どもたちも観戦に訪れる中、今季最多101球の熱投でチームを勝利に導き、同地区のライバルからカード勝ち越しを決めた。 ◇ ◇ ◇ 試合の分水嶺(れい)を自らの感性で見極めた。4点リードの6回2死二塁、ダルビッシュはドジャースのスミスをカウント1-2と追い込み、勝負球に直球を選択した。96・3マイル(約155キロ)をファウルされた後、94・9マイル(約153キロ)の直球で空を切らせ、拳を握って雄たけびを上げた。 「ドジャースは後半強いので。1点ぐらいと思ってやってしまうと、後々きつくなってくるなって思ってましたから。ちゃんと0点に抑えられたところが、すごくうれしかった」 配球面では「変化球狙い」を逆手に取りながら、最速96・4マイル(約155・1キロ)の直球で押し込み、勝負どころで変化球を絶妙に交えた。「相手の逆をついたから押せたところはあると思いますし、裏をかきながら」。7回1死からマンシーをカーブ、パヘスをスプリットで連続三振に仕留め、7回無失点でマウンドを降りた。 前回登板から変更したフォームが、結果に直結した。骨盤の開きが早かったことでボールが見やすく、空振りが取れずにハードヒット(強い打球)を招いたと分析。22年のフォームをヒントに改良した。胸郭を使いながら投げる練習を取り入れたところ、課題だった開きが抑えられ、ボールの見やすさも解消された。 「(ボールの見づらさが)反応として見られたし、全体的に一連の流れでいろんなことができていたので、真っすぐもあまり力を入れずに球速も出たかなと思います」 MLB公式サイトで「8球種」とされているボールを操りドジャース打線を沈黙させ、日米通算200勝へ王手をかけた。全て先発での200勝到達となれば、史上初めての快挙だ。「なるべく早く達成して、早く気が楽になりたいと思っています」と言ったものの「あんまり考えすぎると、勝てなかったりすると苦しくなる。なるべく忘れて、今日のことをしっかり反省して、次またもっと良くなれるように頑張りたいと思います」。日々、進化を遂げる右腕にとって、大台は通過点に過ぎない。 ▽パドレス・シルト監督(7回2安打無失点のダルビッシュについて)「速球がとても良かったし、走っていた。球速もスピンも利いていて、思うように制球できていた。タフな打線を相手に7回まで効率よく投げ、素晴らしい仕事をしてくれた」 ▼ダルビッシュは7回2安打無失点。パドレスは、8日カブス戦でシースが7回1安打無失点、10日ドジャース戦でキングが7回2安打無失点、11日同戦でウォルドロンが5回1/3を2安打2失点。先発投手が4試合連続で5回以上を投げて2安打以下は、記録会社エライアスによると1893年以降で初めて。