岩井勇気が語る、「ブルーロック」の潔くんの頭の切り替え方は見習いたい!<岩井勇気の推しアニメ>
様々なアニメ作品に精通しているハライチの岩井勇気さんが「大人にこそ観てほしいアニメ作品」を紹介するこの企画。今回は、11月4日(月)アニマックスにて第一期が一挙放送されるTVアニメシリーズ「ブルーロック」を紹介。日本をW杯優勝に導く世界一のストライカーを育てるため、"ブルーロック(青い監獄)"プロジェクトを立ち上げた日本フットボール連合。プロジェクトに招待されたのは、全員がFW(フォワード)の高校生300人。脱落すれば将来、サッカー日本代表へ入る資格を失うという極限状態の中で、選ばれし才能の原石たちが、ストライカーとしてのエゴを次々と覚醒させていく様を描く新感覚のスポーツドラマだ。少年時代にサッカークラブに所属しており、フットサルで全国3位になった経験もある岩井さんが「違和感がない」というリアルな肉体描写とデスゲーム的な設定のバランスが絶妙な本作。その魅力を岩井さんに語ってもらった。 【写真を見る】リアルに近い動きで描かれていて見ごたえがあるサッカーシーン ■デスゲーム感覚のストーリーでサッカー好きじゃなくても楽しめるのがいい 個人的にはサッカーアニメが、一番描くのが大変なんじゃないかなって思っているんです。サッカーボールの模様を手で描くのって相当難しいですよね。でも、3DCGでアニメが制作されるようになったことで、サッカーアニメはかなり描きやすくなったんじゃないでしょうか。そして、プレイ中の足の動きも、通常では描かないような体重移動もあるのですが、コンピュータでのデータだと描きやすくなったのかな、と思っています。僕は子どもの頃、サッカーをやっていたんですけど、「ブルーロック」は割と違和感がない足さばきの描き方をしているな、と感じています。 「ブルーロック」は、ほとんど情報を入れない状態でアニメを観始めたんですが、今までのサッカー漫画やアニメでは、あまり言及してなかった日本サッカーの決定力不足に触れていて、サッカーをやっているとわかる部分もしっかり描いていて、とてもよかったです。その一方で、サッカーアニメでありつつも、デスゲーム感覚のストーリーで、サッカー好きじゃなくても楽しめるようにしているのも、すごくいいですよね。 主人公の潔世一(ルビ:いさぎよいち)くんは、プロジェクト参加メンバーの中で一番上手いという立場ではなく、天才が何人かいて、そこにアジャストするみたいな感じの戦い方をしているんですが、そこがすごいな、と思いました。「ストライカーはエゴイストであるべきだ」という「ブルーロック」の世界の中で、そこは日本人的だな、という印象を受けましたね。一回、負けを認めた上で、「じゃあ自分にできることはなんだ」っていうことを考えることが、潔くんの処世術なんだろうなあって。 彼の、切り替えが早いというか、自分の考えに執着しないところがすごいですよね。「ライバルに負けているんだろうな」ということに対して、「いや、俺は負けていない!」って思うんじゃなくて、「だったらどうする?」みたいな方向に頭を切り替えられる高校生って、すごいなって思います。今までやって来たアプローチも変えますし、むしろ自分の理想があんまりなさそう、というか「自分の得意なことが好き」みたいな感じなんですよね。でも、それって世の中に出た時に一番大事だと思います。苦手なところで勝とうとすると、すごい劣等感を感じますし、結構辛い局面があると思うんです。でも、自己分析が済んでいると、苦手なことを把握できた時の方が伸びるんですよね。僕も、ひな壇で立ってめちゃくちゃワーワー言って目立たなきゃいけないというのが、めちゃくちゃ苦手なんですよ。だったら、どこで頑張ればいいのかを考えて今のスタイルに落ち着いたので、自分が得意なところで頑張るっていうのは、潔くんを見習うべきところだな、と思いますね。 ■主人公だけでなくお気に入りのキャラクターがたくさんいる 主人公の潔くんはもちろん好きなキャラクターなのですが、僕がお気に入りなのは蜂楽廻(ルビ:ばちらめぐる)です。第1話で寝起きの状態で五十嵐栗夢(ルビ:いがらしぐりむ)の顔面を蹴って、「禁止なのはハンドだけでしょ」と言ったのが、すごくよかったですよね。ああいうルールの隙を突く、頭の柔らかさが好きです。第9話で彼がラボーナを決めるまでの、サッカーをすごく楽しみながらやっている場面は盛り上がりましたね。 あと、エリートがそれまでの地位から落とされて豹変するというのが大好きなので、第一の脱落者となった吉良涼介(ルビ:きらりょうすけ)や、天才・凪誠一郎(ルビ:なぎせいしろう)の才能を見出した相棒だったにも関わらず、潔くんにそのポジションを奪われた御影玲王(ルビ:みかげれお)といったキャラクターもお気に入りです。いわゆる休憩回のない、イッキ見に向いているアニメですので、ぜひ一挙放送で作品の魅力を知って、現在放送中の第二期(アニマックスでは11/9(土)放送スタート)を追いかけて欲しいですね。僕も玲王がどう立ち直っていくのかを一番の楽しみにしています。また、本編では描かれない彼らの関係性も補完してくれる短編アニメ「ブルーロック あでぃしょなる・たいむ!」にも、ぜひ注目して欲しいです。 取材・文=中村実香 岩井勇気●1986年生まれ。幼稚園からの幼なじみである澤部佑とのお笑いコンビ「ハライチ」として活躍。新潮社『僕の人生には事件が起きない』 『どうやら僕の日常生活は間違っている』が累計20万部突破。放送されるアニメ作品はすべてチェックし、毎日放送「岩井 狩野 えびちゅうの推しかるちゃー」やABEMA「SHIBUYA ANIME BASE」など、漫画やアニメに関する番組でもMCを務める。
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