フェイク情報を監視 鳥取県庁にチーム、HPやSNSで注意喚起も
インターネット上で拡散するフェイク(偽・誤)情報に目を光らせる対応実証チームが15日、鳥取県庁に発足した。県民を不安にさせたり混乱させたりする可能性が大きいと判断した情報について、県のホームページ(HP)などで注意喚起する。 【写真】鳥取県の「フェイク情報対応実証チーム」のスキーム 1月の能登半島地震では誤った情報やデマが広がり、問題となった。県によると、2020年と21年には新型コロナに関連した県内のデマが拡散したという。 県のチームは部局横断で構成。平時は広報課とデジタル改革課がキーワードから投稿や拡散の傾向を解析するシステム(ソーシャルリスニングツール)を活用し、SNSやニュースサイトなどをモニタリング(監視)する。注意が必要な情報を検知すれば「平常フェーズ」から「警戒フェーズ」に移行し、関係部局の職員を招集して対応する。 県の情報との照合や聞き取りなどを踏まえ、県民生活への悪影響や人権侵害、犯罪などの可能性があるフェイク情報や真偽不明情報を洗い出す。投稿数が一定を超える情報があれば県のホームページやSNSで注意を呼びかけたり、「○○で○○が発生した事実は確認されていません」などと警戒(安全)情報を出したりする。 個人や団体の主義・主張や不拡散情報は対象外で「ファクトチェック」もしない。 15日は発足に当たって県庁で会合があり、関係部局が意見交換。オンラインで参加した県デジタル倫理アドバイザーの山本龍彦・慶応大法科大学院教授(憲法学)は「行政が特定の投稿を削除する引き算ではなく、積極的に適切な情報を発信するという足し算をするポジティブな取り組みだ。行政が自らに都合よく運用するリスクがゼロではないので、チームが憲法的なマインドを持って運用するようしっかり見守りたい」と述べた。チームは来年5月をめどにそれまでの対応を検証し、その後に本格的に始動する。 総務省情報流通適正化推進室の担当者は「地方公共団体がこうしたチームを作って取り組むことは重要」としている。(清野貴幸)
朝日新聞社