テレビの演出、お盆イベントに生かす 黒部・愛本地区出身の放送作家、運動会や花火大会に助言
お盆で帰省した出身者と地域住民が競い合う運動会、大切な人へのメッセージと共に打ち上げる花火大会…。まるで演出が巧みなテレビ番組のようなイベントが14日、富山県黒部市の宇奈月町愛本地区で行われた。提案したのは同地区出身で、人気番組を手がける放送作家、中野俊成さん(59)=東京。今春から地域活性化団体のアドバイザーを務める。「自分ができることで地元に恩返しができればいい」と話している。 中野さんの地元・愛本地区は黒部川に架かる愛本橋などがある中山間地域。人口は600人で30年前に比べて半減し、高齢化も進んでいる。住民有志が昨年「愛本アクティブプランナーズ(AAP)」をつくり、行事の活性化などに取り組んできたが、リーダーの内橋充夫さん(52)は「すぐにアイデアが尽き、手詰まりになった」と話す。 こうした中でAAPが頼ったのが「ポツンと一軒家」「アメトーーク!」「大改造!!劇的ビフォーアフター」などを手がけてきた中野さんだった。3月に帰省していた中野さんにアドバイザー就任を依頼。中野さんは「地域のために無償で活動する人たちの熱意に心が動いた」と振り返る。
中野さんとAAPメンバーは4、5月にインターネットを通して意見を交わし、6月下旬には顔を合わせてミーティングを実施。今月14日は体育大会や盆踊りなどを組み込んだイベント「あいもとエンジョイ24」が愛本交流館グラウンドであり、随所に中野さんのアイデアが取り入れられた。 体育大会の玉入れを地区在住者と出身者の対抗戦にしたのもその一つ。会場を訪れた中野さんは「例えば紅白歌合戦のように、テレビでは立場が同じ人がチームを組むと盛り上がる。その経験を生かして提案してみた」と言う。大声コンテストでは、参加者の顔に視線が集まるよう、中野さんのアドバイスで「顔出しパネル」を用いた。 夜は「愛の伝言花火」を開催。祖父から孫へ、子から親へなど、大切な人へのメッセージがBGMと共に読み上げられた後に、小さな花火が上がる内容で、中野さんは「地域の人の顔が見えて、心が温かくなる日本一小さな花火大会」と狙いを明かした。
今後もAAPと中野さんは行事や情報発信について意見交換する予定。中野さんは「テレビの仕事でも自分は、ディレクターらの『こんな番組をつくりたい』という思いを具現化するためのサポート役。テレビでしてきたことを地元での活動に生かせればいい」と語った。