ヤリス・クロスの「高級仕立て」は機能するか? レクサスLBXへ英国試乗 想像以上に運転は楽しい
eラッチ・ドアを採用 車内空間は限定的
センター・タッチモニターのサイズは9.8インチ。小柄なクロスオーバーには充分なサイズといえ、インフォテインメント・システムの操作性も、従来から大きく改善した。 タッチモニターの下部やドアパネルには、実際に押せるハードボタンも用意されている。エアコンの温度も、ドアミラーの角度も、慣れ親しんだ方法で調整できる。フォグライトは、ウインカーレバーのスイッチで点灯できる。当たり前のことがうれしい。 同時に、モダンな電子システムも採用する。eラッチと呼ばれるドアヒンジ・システムは、何かにぶつかりそうだと判断すると、開く角度を制御。スマートフォンを、デジタルキーとして登録することもできる。 小さなボディサイズがゆえ、車内の収納は限定的。ドアポケットやセンターコンソールの小物入れ、グローブボックスなど一通り用意されているが、容量は大きくない。 リアシート側の空間は、前後長が狭め。高身長の大人がフロントシートへ座ると、その後ろには大人に充分な空間が残らないだろう。 荷室の容量は402Lで、このクラスとしては大きめ。フロアはフラットで使いやすそうだが、高さを調整できたり、仕切りが用意されていたりということはない。
期待を寄せる理由は理解できる
実際の走りで配慮されたポイントの1つが、ノイズ。運転してみると、低速域では驚くほど静かだ。加速は、ヤリス・クロスより活発。駆動用モーターが積極的に働き、加減速の激しい都市部でも、車内は平穏に包まれている。 しかし、136psを引き出そうとすると、CVTがエンジンを高回転域まで引っ張り、唸りが聞こえてくる。レスポンスも、そこまで鋭いわけではない。高速道路での巡航時は静かに戻るとはいえ、プレミアムな価格に見合うマナーとは呼びにくい。 燃費は優秀。今回は都市部から高速道路まで、複合的に約160kmを走らせたが、平均19.5km/Lを記録した。 操縦性も強み。ホイールベースが短く、車重は1300kg前後と軽量で、軽快に操れる。回頭性は鋭く、入力に対する反応は正確。高速で旋回を試みても、姿勢は落ち着いている。小柄なだけに、小回りも効く。 乗り心地は基本的にしなやか。稀に細かな不整で衝撃を伝える場面はあったものの、大きめのバンプを越えても乱れることはなかった。 カーブが連続する郊外の道では、想像以上に運転が楽しい。コンパクトなモデルの魅力を、再確認させてくれた。 LBXのパッケージングは悪くない。レクサスが期待を寄せる理由も理解できる。燃費が良く、運転を楽しめる小さなクロスオーバーは、多くの人が欲する内容といえる。ヤリス・クロスより乗り心地に優れ、内装は上質で、見た目のインパクトも強い。 とはいえ、約6000ポンド(約111万円)の価格差に相当するほどかと聞かれると、意見はわかれそうだ。レクサスが期待を寄せるブレークスルーには、あと少し達していないかもしれない。
レクサスLBX FWD プレミアム(欧州仕様)のスペック
英国価格:3万2495ポンド(約602万円) 全長:4190mm 全幅:1825mm 全高:1545mm 最高速度:170km/h 0-100km/h加速:9.2秒 燃費:21.3km/L CO2排出量:107g/km 車両重量:1280-1350kg パワートレイン:直列3気筒1490cc 自然吸気+電気モーター 使用燃料:ガソリン 駆動用バッテリー:-kWh 最高出力:136ps(システム総合) 最大トルク:18.7kg-m(システム総合) ギアボックス:e-CVT(前輪駆動)
ジェームス・アトウッド(執筆) 中嶋健治(翻訳)