『青春18×2 君へと続く道』でシュー・グァンハンが挑んだ日本語 藤井道人監督からのリクエストとは
藤井監督は俳優に自由に演じさせてくれる
──そうした役作りにおいて、藤井監督とはどのようなディスカッションをされましたか? 時々、僕のやり方と監督の考えが違う方向にいってしまうことは当然ながらあります。そんなとき、藤井監督は必ず何らかの形容詞、或いは言葉を一つ渡してくれました。それを受けて、まずは僕たちがやってみるという藤井監督のやり方や表現方法が、僕はとても好きでした。 ガチガチに固めるのではなく、ある種の方向性を示してくれて、その空間の中で俳優に自由に演じさせてくれるのです。撮影現場では、そういった部分にしっかりと時間をかけて監督と二人三脚で作っていきました。 ──グァンハンさんは役を決め込まずにある程度バッファを持たせる“余白„を大切にされているのではないかと感じました。 そう感じていただけたなら、それは藤井監督の編集が上手いからだと思います(笑)。また、それは僕と役どころの間にある距離感にリンクするとも思います。演技において、自分自身が役柄に近づいていくときがあれば、遠く離れる場合もあったり、程よい距離感を保ってバランスを整えたりするときもあります。 中国語では「天・地・人」の3つのバランスが取れた状態がベストだといいますが、この場面では近づくのが正解で、また違う場面では離れたほうがいい──といったように、常に距離感を意識しながらその都度試行錯誤しています。 あるシーンを1回演じてみて「すごく上手くできた! 残りのシーンもこう演じればいいんだ」と手ごたえを得たとしても、次のシーンでは「あれ? やっぱり違う」となってしまうこともあります。まだまだ勉強不足だと日々痛感しているので、さらに演技力を磨いていかなければいけません。 シュー・グァンハン 1990年生まれ、台湾出身。俳優として活躍中。13年、ドラマ「潛入藍中籃」で初主演し俳優デビューを果たす。19年、ドラマ「時をかける愛」で大ブレイクし、台湾のエミー賞とも称される第55 回金鐘獎の連続ドラマ主演男優賞にノミネートされ、中華圏以外に、韓国などアジアからの注目も集める。おもな映画出演作に、『ひとつの太陽』(19)、『僕と幽霊が家族になった件』(23)などがある。 ※表紙と巻頭グラビアに登場したNICHOLASのスペシャルインタビュー、台湾で必ず食べたい小籠包 や魯肉飯の名店、メイドイン台湾の美しい日用品などが盛りだくさんの台湾特集はCREA Due『愛しの台湾』でお読みいただけます。
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