ヤクルト奥川恭伸は960日勝利の陰で人知れず苦しんでいた 「どうやって投げたらいいんだろうって...」
今年、昨年と二軍戦では投げていたが、一軍の選手と対峙するのは、じつに2年ぶりだった。 「二軍は勝敗を気にしなくていいってわけではないですけど、みんな自分の課題に向き合っている感じじゃないですか。これがいざ一軍となると、なんでもいいから勝つ、になる。相手打者のレベルも一気に上がって、そこの圧力やプレッシャー、メンタル的な部分でちょっと引いてしまった部分がありました。全然思ったようにいかなかったです」 【シーズン中の苦しかった胸中】 今シーズン、奥川は7試合に投げて3勝2敗、防御率2.76。長いリバビリを乗り越えての成績だということを考えれば十分なものだった。 「結果はついてきましたが、内容は全然よくなかった。最初の1試合、2試合だったら仕方ないと思えたのですが、そのあとも続いてしまったので、これはちょっとまずいなと......」 奥川がシーズン中の苦しかった胸中を吐露した。 「パフォーマンスが思ったようにいかないなかでも抑えなければいけないし、勝たなければいけないのが一軍の試合。そうなると、自分のなかでどうしても妥協しないといけないことが出てきます。試合のなかでいろいろ試して、自分の状態を上げることができない。ストライクが入る球種で抑えるしかなかったり......そういう狭いなかでやらなければいけなかったので、自分が持っている引き出しから一生懸命引っ張りし出している感じでした。自分のいいところを消してでも、抑えることだけを考えていた。妥協、妥協......投げていても気持ち悪かったし、楽しくなかった」 投げているときの気持ちの悪さとは、どんな感覚なのだろうか。 「セットに入ったときにハマってないし、しっくりこない。(一軍復帰)3戦目あたりからうまくいくイメージだったんですけど、本当にハマらない。ふわふわしているし、動きがどうしても不安定で、ボールがどこにいくかわからない」