【陸上】北口榛花 初戦はハラハラV!一時は7位も「気持ちで投げた」ラスト2投で大逆転/DL蘇州
◇ダイヤモンドリーグ蘇州大会(4月27日/中国・蘇州、オリンピックスタジアム) 世界最高峰のダイヤモンドリーグ(DL)の第2戦・蘇州大会が行われ、女子やり投の北口榛花(JAL)が62m97で優勝。これでDL通算7勝目を挙げた。 北口榛花のダイヤモンドリーグ全成績 世界女王にとって、ハラハラのシーズン初戦だった。1回目はまさかの55m97。2回目も56m43にとどまり、3回目に58m93と、60mに届かず。欧州で主流の「硬い反発のピット」と違うことも影響。なんとか7位でトップ8に残った。 4回目も56m57。昨年優勝しているファイナルを見据えた時に「このままだと2点(順位ポイント)か……」と頭をよぎる。そして、「やっぱり6回投げたい」と、5回目に61m44をスロー。これで2位に上がって、上位3人だけが進める“ファイナル3”へ。 そして6回目。何度も逆転劇を演じてきた北口は、「気持ちで投げた」。自身でも頭を抱え、「あり得ない」と驚きの表情を見せた一投は、62m97でマッケンジー・リトル(豪州)を逆転し、見事に頂点に立った。 「本当に最悪でした」。欧州からの帰国後は体調不良になった日もあり、練習では「大学生に戻った」くらいしか飛距離も出なかったという。近年では過去最悪とも言える状態。「どうしたら良くなるのかも整理できない」まま、不安の初戦だった。 ただ、女王は、やはり女王だった。「他の選手は、またか、となったと思います」と苦笑い。金メダルに輝いたブダペスト世界選手権をはじめ、意地の一撃でまさに女王の貫禄を示した。 本来はいろいろ考え、試したかった初戦を「勢いだけで投げてしまったので、整理が必要」と反省するも、やはり勝ちきるのは、この先のシーズンを考えれば、ライバルに与えた印象は大きい。 これでDLは初出場時から一度もトップ3から落ちず、ファイナルを含めて11戦7勝という圧巻の成績を残す。 「自分の中で噛み合っていない。まだまだこれから。いろんな人と話をして考えていきたいです」 悲願のオリンピック金メダルへ。劇的なシーズン初戦を終えた女王のギアは、これから上がっていく。
月陸編集部