【データで選出7月月間MVP】4勝&防御率0.00の中日・髙橋はセイバー的にも圧巻。パ・野手には好調・ロッテから3名がランクイン【コラム】
広島・矢野が圧倒的な守備力を発揮。ソフトバンク・周東は驚異の守備範囲でパ・リーグトップ
守備評価には同じイニングを守った平均的な同ポジション選手と比較してどれだけ失点を防いだかを表すUZR(Ultimate Zone Rating)を使用する。しかしUZRは同ポジションの選手との守備を比較する指標であるため、異なるポジションの選手を比較する際はポジション間の補正を行う必要がある。一般的に高い守備力、もしくは独自性のあるスキルを要するポジション(遊撃手や二塁手、捕手など)を守った選手はプラスに補正をかけ、その逆のポジション(一塁手や左翼手など)はマイナスの補正をかけるといった具合だ。この守備位置補正をUZRに加えたものが守備貢献となる。 守備では矢野雅哉(広島)が圧倒的なはたらきを見せている。7月は平均的な選手に比べ、守備でチームの失点を5.1点防いだという評価だ。今季から遊撃のレギュラーに定着した矢野。ここまでのUZR10.5は2位の源田壮亮(西武)に大差をつけたトップだ。課題の打撃面でも成長を見せており、7月はリーグの平均的な打者に比べ2.6点分得点を増やしている。シーズン通して好調を維持できれば、自身初となるゴールデン・グラブ賞やベストナインのタイトルも十分狙えるだろう。 ランキング外も含めた全選手を対象に守備を見ると、周東佑京(ソフトバンク)も優れたはたらきを見せた。7月は平均的な選手に比べ守備で4.9点もの失点を防いだという評価。これはパ・リーグでトップの数値だ。26日のオリックス戦では、頓宮裕真が放った左中間への大飛球をフェンスに激突しながらジャンピングキャッチ。さらに28日のオリックス戦でも、森友哉が放った左中間への大飛球をふたたびフェンス間際でキャッチ。俊足を活かした守備範囲の広さで、何度もチームの失点を防いだ。
4勝&防御率0.00の中日・髙橋が抜群の投球内容。パは日本ハム・加藤がトップ
投手のWARは投球の質と量両面でどれだけ貢献したかから求める。質は「奪三振」、「与四死球」、「被本塁打」、「ゴロかフライかライナーといった打たれた打球の種別」、量は「どれだけ多くの機会をこなしたか」によって決まり、そこから平均的な投手と比較しどれだけ多くの失点を防いだかを算出。それが何勝分に値するのか換算したものが投手のWARとなる。 投手部門でパ・リーグは加藤貴之(日本ハム)、セ・リーグでは髙橋宏斗(中日)がそれぞれ0.73、1.18とトップのWARを記録した。 両リーグでも断トツの投球成績を残した髙橋。7月は4度の先発すべてで勝利し、月間防御率は0.00。奪三振割合(奪三振/打者)は2位のフォスター・グリフィン(巨人)に大差をつけてトップの34.8%。対戦打者の3人に1人以上のペースで三振を奪っている。圧倒的な内容でありながら、投球イニングでも両リーグトップの32イニングを記録。質と量、どちらの面でも優秀な成績を残した。 パ・リーグの投手ではわずか1勝に終わった加藤がトップ。2021年から3年連続でリーグ最小の与四球割合(与四球/打者)を記録するなど、とにかく四球による失点が少ない加藤。7月の与四球割合はわずか1.2%、シーズンでも両リーグトップの1.9%と、今季も制球力は健在だ。7月を通して被本塁打を許さず、優れた投球内容で有原航平(ソフトバンク)をわずかに上回るWARを記録した。 DELTA(@Deltagraphs)http://deltagraphs.co.jp/ 2011年設立。セイバーメトリクスを用いた分析を得意とするアナリストによる組織。書籍『プロ野球を統計学と客観分析で考える デルタ・ベースボール・リポート1~7 』(水曜社刊)、電子書籍『セイバーメトリクス・マガジン1・2』(DELTA刊)、メールマガジン『1.02 Weekly Report』などを通じ野球界への提言を行っている。集計・算出した守備指標UZRや総合評価指標WARなどのスタッツ、アナリストによる分析記事を公開する『1.02 Essence of Baseball』(https://1point02.jp/)も運営する。
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