[山口県]クジラやフグイメージ パルスゴンドラ上駅の役割 下関・火の山山頂付近の屋内展望施設概要
26年度末に完成予定
下関市が火の山地区で進めている観光施設再編整備計画のうち、山頂付近に新設する屋内展望施設の概要やイメージパースが明らかになった。下関にちなんでクジラやフグをイメージした曲線状の屋根を持つ一部3階建ての施設で、11月に66年間にわたる運転を終了した火の山ロープウェイに代わるパルスゴンドラ(固定循環式ゴンドラ)の上駅の役割を兼ねる。パルスゴンドラと同じ2026年度末の完成を予定している。 公募型プロポーザルで選定された隈研吾建築都市設計事務所(東京)が設計。「海・山・まちに開き、人が集まるやわらかな展望施設」をコンセプトに、火の山のなだらかな稜線(りょうせん)になじむような柔らかな形状や色味とし、クジラやフグのおなかの部分を思わせる曲線状の屋根と軒下空間で来訪者を迎えるデザインにしている。 高低差のある場所に施設の一部が張り出す形の一部3階建て構造。このうち展望室となる3階部分はフロア面積約450平方メートルで、円弧状の連続ガラス越しに関門海峡などの眺望が楽しめる。カフェや観光インフォメーションコーナー、ベンチ、トイレを備える。エレベーターなどでつながる1階部分はパルスゴンドラの上駅として待合ロビーや駅務室、トイレを整備する。鉄筋コンクリート造りで、一部鉄骨造り。 通信手段ののろしを上げる役目も担っていた歴史を継承し、屋根部分をライトアップして山麓や対岸の北九州市側からも火の山のシンボルとして感じてもらう。軒下は展望デッキとし、その前には芝生広場が広がることになる。 現在ある上駅のそばには明治期に関門海峡を敵艦隊から防衛するために旧日本陸軍が築造した「火ノ山砲台」の遺構があり、これを避ける形でさらに東側の斜面付近に屋内展望施設を建設することにした。 4日の市議会建設消防委員会で示された。市公園緑地課は「自然と調和した柔らかいイメージのデザイン。親しみを持って利用いただける施設に仕上がるものと期待している」と話した。 市が「光の山プロジェクト」と名付けて手がけている再編整備計画の一つで、山頂部の展望デッキ「ヒノヤマリング」やアスレチック施設は25年度中の完成を目指している。