米メディアが考察「MLBの開幕延期の影響で何が起きるのか」
新型コロナウイルスの感染拡大が続く米国で、MLBは12日(日本時間13日)、オープン戦の中止及び26日(同27日)に予定していた開幕戦を最低2週間延期することを発表した。 USAトゥデイ紙によると、ミルウォーキー・ブリュワーズは13日に非公式の練習を行い、週末に施設を閉じ、16日に練習を再開すると発表。ヤンキースのアーロン・ブーン監督は「選手全員がフロリダ州タンパに残り練習を続ける」と明かした。ドジャースのデイブ・ロバーツ監督は「選手が希望すれば自宅に戻ることを許可している」と話した。カブスのセオ・エプスタイン社長は「13日にスプリングトレーニングの施設は閉じられ、その先の日程は決められていない」と発表したという。 またカリフォルニア州のイーストベイ・タイムズ紙によるとMLBの決定を待つまでもなく、アスレチックスの本拠地のオークランド市は1000人以上を集める大規模イベントを3月12日から31日の間に開催することを禁止する命令を下しており、3月26日の開幕から4月1日まで続く、本拠地でのツインズ、アストロズと続く開幕シリーズを開催することは難しかったという。 アスレチックスのボブ・メルビン監督は、「今、何かの行動を起こせば、レギュラーシーズン(を無事に消化する)チャンスがあると思う。レギュラーシーズンがいつ始まるか? それは分からない。もし(中断を)長くすれば、レギュラーシーズンはより難しくなるだろう。私が聞いたところでは、ほとんどの人が同じように考えているようだ。今は落ち着いて対応するときだ」とコメントしている。 果たして最低2週間延期の影響はどう出るのか?米国メディアは、延期によりどんな影響が生まれるかの見解を伝えている。
CBSスポーツは「MLB側の希望はシーズンの最初のわずか2週間のみを失うというものだ。それが現実的な望みなのかは、どうか定かでないが、通常通りの業務が再開できるまで少なくともさらに時間を要する可能性もある」と指摘。その上で、「シーズンの短縮」、「開幕後の試合スケジュールの変更」、「日程消化のためのダブルヘッダーを敢行」などの可能性を示唆した。さらに「もし4月9日に開幕して、埋め合わせの試合がなければ、レギュラーシーズンで約150試合は行うことができるだろう」と推測した。 また同紙は「MLBは、シーズン下にあるプロスポーツで新型コロナウイルス対策で最後に行動を起こしたリーグだった」と、対応の遅れを批判。NBAが、米4大スポーツで最初に行動を起こしたことや、サッカーのMLSは、12日午前、アイスホッケーのNHLは、12日午後だったが、MLBが決定を下す前に方針を明かしていたことを伝えた。 NBCスポーツのフィラデルフィア局は、「レギュラーシーズンの延期が2週間を過ぎるようであれば、162試合の消化は難しい。リーグの半分のチームが天候の寒い街でプレーしており、12月、もしくは1月までプレーをし続けることはできない」との見解を示した。 ニューヨークポスト紙は、「新型コロナウイルスの感染拡大がMLBにどのような影響をもたらすかについては何とも言えない」との見出しを取り、延期の影響を考察した。 同紙が影響の可能性を示唆したのは「レギュラーシーズンの試合数」「ロスター枠の変更」「プレーオフの構図」の3点。同紙は、過去にシーズンの試合数が減った例を紹介。1994年は、選手会のストライキでポストシーズンが中止となり、労使問題が持ち越された翌年は、144試合に短縮されている。 同紙は、「MLBは、どの地点でレギュラーシーズンの見通しを立てるのか。100試合か、90試合か、80試合か。スプリングトレーニングを簡略することでロスター枠は拡大するだろうか。例えば1995年シーズンは、当時のロスターの枠を25人(現在は26人)から28人に拡大して始まっている。短いシーズンで不利とならないように、MLBは特にテレビがが望んでいるプレーオフの拡大をするのだろうか。2021年に導入が望まれている14チームによるプレーオフ拡大を試す可能性はあるだろうか」と、延期による可能性のある事象を並べた。 その上で「これらのすべてはMLBがシーズンを始めるときに解決されるだろう。今の時点では、どのようになるか定かではない」と締めくくった。 また「延期されたことでコロナウイルスへの日々の対応の重要性で脇に置かれていた2つの問題にとりかかる時間を持てるだろう」とし、アストロズに続きサイン盗み疑惑が浮上しているレッドソックスに対するコミッショナー裁決と、MLBと選手会による2020年の試合中のテクノロジー使用に関する合意の2点の問題解決に集中できるとの見立てを伝えた。 MLBまでを襲った新型コロナショック…前出のUSAトゥデイ紙は、フィラデルフィア・フィリーズのジョー・ジラルディ監督の「スポーツは、我々の国にとってとても重要で、また多くの人々を雇用していることも理解している。誰もが試合が始まることを楽しみにしている。そして、長い間、それが行われないだろうということも知っている。我々が最も重要と考えることは、残念に思うことよりも安全でいるということだと思う。そして、いつかまたこの場に戻ってくる。世界もまた正常になると信じている。今はちょっとした休止だ」との声を紹介。野球ファンへの現場の思いを伝えた。