＜大相撲夏場所8日目＞王鵬（右）を押し出しで下す琴桜（撮影・藤山　由理）

　◇大相撲夏場所8日目（2024年5月19日　両国国技館） 　大関・琴桜が、2日連続大関撃破で勢いに乗る平幕・王鵬を退けて6勝目を挙げた。ともに埼玉栄高出身で元横綱の孫、元関脇の息子という相撲一家同士の対戦が結びで組まれるのは今回が初めて。番付上位の先輩が貫禄を示した。1敗対決は新小結・大の里が大栄翔を下して首位をキープ。37歳の平幕・宝富士とともに星を伸ばし、2人を琴桜ら5人が追う展開となった。 　琴桜の名に懸けて、辛抱して白星をつかんだ。組み止められずに少し押し込まれたが「我慢して勝機を見いだせるように」と攻め返して押し出し。3日連続結びでの大関撃破を狙った王鵬に、壁として立ちはだかった。 　父は元関脇・琴ノ若で祖父は元横綱・琴桜。対する王鵬は父が元関脇・貴闘力で祖父が元横綱・大鵬。22年初場所の初対戦で注目を集めた時は、ともにまだ平幕下位だった。あれから2年半、4度目の対戦で初めて結びで顔を合わせた。「これからも当たっていくし当たり前になってくると思う」。埼玉栄高相撲部の寮で中高6年間を過ごした者同士で「上位で戦えるのは学校や先生への恩返しにもなる」と特別な思いもあった。 　ただ土俵に上がれば「相手が誰でも一緒」と勝負に集中。大関らしさを結果で見せた。1敗の2人を1差で追走。改名場所で悲願の初優勝へ向かう後半戦を見据え「集中してやるだけ」と気持ちを高めた。　（前川　晋作）