城氏が語るW杯アジア2次予選。なぜ森保ジャパンは格下のタジキスタン攻略に手ごずったのか?
前半45分。中島のクロスに対して、マークを外してフリーになった南野はヘッドを合わせたが、キーパーの正面をついた。実は、彼には、ヘディングをする瞬間に首をひねる癖がある。角度と勢いをつけようと考えているのかもしれないが、あの場面、もし首をふらずに同サイドにポンと合わせただけならシュートは正面を突くことはなかったのである。先制ゴールも、首をひねって叩き込んでいる。だが、ヘディングは、そこまで難しくする必要はない。ケースバイケースで、もっとシンプルでいい。そのあたりのテクニックを身につけていけば、欧州でも、トップクラスのストライカーに覚醒できるだろう。 アジア2次予選は、まだ来年の6月まで5試合残っていて、来月14日には敵地でのキルギス戦が控えている。ぜひ試してもらいたいのが、久保のスタメン出場である。この試合でも、久保が出場機会を得たのは後半40分を過ぎてからだった。永井よりも先に久保を投入してもらいたかったが、なぜか森保監督は、久保に長いプレー時間を与えなかった。 もう彼の個人能力の凄さはわかっているのだから、今後、連携を磨けば、どうなるのかを見てみたい。久保絡みの連携が、うまく回り始めればチームの攻撃のバリエーションも増える。 久保は足元のボールさばきがうまくボールも取られずパスも出せる。ただ、ワンプレーをすると、少し動きが止まってしまう傾向がある。パスを出した後の次への動き出しが少ない。もしかすると、森保監督は、トレーニングから、久保のそういう部分を見ているのかもしれない。先発を勝ち取るには、まだそこの部分が物足りないと判断して、アクセントとしての起用にとどめている可能性もある。プレー時間を増やすには、久保自身が監督の信頼を勝ち取る必要もあるのだろうが、今後の注目ポイントではある。 (文責・城彰二/元日本代表FW)