【後編】麻酔科医が足りない…無痛分娩の賛成8割超えなのに実施率1割以下のワケ【独自アンケート】
先月8日、さいたま市内のクリニックに訪れた入駒医師は、クリニックの産婦人科医や助産師らに安全な無痛分娩について講義を行った。この石川病院の石川博臣院長は秋にも無痛分娩の導入を考えているといい、「ハードルは高いが、安全な無痛分娩を取り組みたい」と熱心にメモをとっていた。
現状、無痛分娩を行う医師の過半数が麻酔科医でなく産婦人科医であるという状況をふまえ、入駒医師は、「産婦人科医に安全な無痛分娩の知識と技術を身に付けてもらい、安全な無痛分娩を行ってほしい」という。そのため、サポートは、無痛分娩に関する座学から始まり、実際の麻酔の処置など実技を学ぶ研修と続き、さらに無痛分娩の扱いを開始した後はその施設の全ての症例をチェックして、改善点の指導を続ける。入駒医師は活動を通じて、「出産する人が出産方法を選べる世の中にしたい」という。
■女性が出産方法を選べる社会に
女性が無痛分娩を選ぶことに賛成する人は、8割。私達が取材した無痛分娩で第1子を自然分娩で、第2子、第3子を無痛分娩で出産した女性は、「自分はたまたま産院が見つかったが、無痛分娩が受けられない人もいると思うと悔しい」と思いをこめた。希望する女性がひとつの選択肢として、無痛分娩を選ぶことのできる体制が望まれている。
<調査方法について>
本調査は、2023年6月21日(水)~22日(木)に、大手リサーチ会社に登録したモニターを対象に行い、20代以上の男女1054人から有効回答を得ました。年代、性別、居住規模については国勢調査の割合に近づけて行いました。なお、原則として小数点第2位以下を四捨五入しているため合計と内訳の計が必ずしも一致しません。 監修:神奈川県立保健福祉大学・田辺けい子准教授 協力:JX通信社