総事業費89億円「大川の駅」検証へ諮問委員会設置へ…福岡県大川市の新市長、選挙戦で「いったん白紙」
9月の福岡県大川市長選で初当選した江藤義行・新市長(77)が23日、初登庁した。江藤氏は選挙戦で「いったん白紙に戻す」と見直しを訴えた産業・観光振興拠点「大川の駅」(仮称)整備事業について、建設予定地の選定経緯や事業費などを検証する諮問委員会を早期に設置する考えを示した。 【写真】就任式であいさつをする江藤・新市長
江藤氏は、家具の企画開発や卸売りを手がける同市の家具商社「エトウ」の元会長。大川商工会議所副会頭や大川木材事業協同組合の理事長などを務めた。初挑戦となった市長選では、3期目を目指した倉重良一氏(47)を579票差で破った。
大川の駅は、「道の駅」と「川の駅」の両方の機能を併せ持つ施設で、市がにぎわい創出と稼ぐ力の強化を目的に計画。同市大野島に飲食や物販施設、展望デッキを備えた道の駅(約4万3000平方メートル)と、水辺に親しめる川の駅(約8400平方メートル)、基幹産業の木工業のPRや人材育成などの拠点施設を整備する。総事業費は民間企業の誘致エリア分などを含め約89億円で、現在、地盤対策工事が進められている。
江藤氏は、事業費や建設予定地の選定経緯に疑問を持ち、計画に反対する市議らと市民団体「大川市の将来を考える会」を結成。計画の見直しを求めて今年2月から署名活動を始め、6月と8月に計約6500人分の反対署名を市に提出したが、市は「誤った情報を基に集められた」として受け取りを拒否した。
初登庁で「難しい課題は私に直接」
この日の朝、公用車で初登庁した江藤氏は、市役所正面玄関で職員や集まった支援者らの出迎えを受けた。就任式では、係長級以上の職員約60人を前に「これから皆さんと私が力を合わせ、市民のために良い仕事をしていきたい。そのためにはお互いが信頼し合うことが一番大切。難しい課題や問題に直面したら自分で重荷を背負わず、私に直接聞かせてください」とあいさつした。
その後、報道陣の取材に応じ、大川の駅事業について「まずは検証しないといけない。(建設予定地の選定経緯や事業費などを)諮問委員会を設けて議論することになる。なるべく早くやりたい」と述べた。また、22日付で辞職した副市長2人と教育長の後任人事については「12月議会に提案することになる。副市長は1人にする」と説明した。
江藤氏の任期は23日から4年間となる。