なぜ新人の立候補予定者多い? 広島県福山市議選、前回選より10人増の27人 定数は38
任期満了に伴う広島県福山市議選(4月7日投開票)は、31日の告示まで24日で1週間。定数38に対し56人が立候補を予定し、かつてない激戦の様相を呈している。県内の直近の主な市町議選と比べても当選までの倍率、新人の割合ともに高さが目立つ。各地で議員のなり手不足が課題とされる中、なぜなのか。背景を探った。 【表】広島県内の直近の主な市町議選の立候補人数 福山市議選の倍率は1・47倍で3人に1人が落選する計算。1・21倍だった2020年の前回選よりも狭き門となる。新人は10人増の27人で、全立候補予定者の48・2%を占める。倍率や新人の割合の高さは23年の広島市議選に近く、備後地域ではいずれも群を抜いている。 「自分の住むまちを良くしたい」「政治と市民の距離を縮めたい」。新人たちはさまざまな声を上げる。「新型コロナウイルス禍で自治体によって施策に差があることを知り、市政に興味を持った」と話す新人もいる。 予定者の大半が子育て支援を掲げ、新人の一人は「当事者として政策の議論の場に参加する必要がある」。別の一人は、福山市と同じ中核市で独自の子育て支援策を打ち出す兵庫県明石市の取り組みに興味を持ち、決断したという。 無投票だった23年の県議選福山市選挙区とは対照的に、混戦必至の市議選。過去に当落を分けた得票数のボーダーラインをみると、選挙戦になった19年の県議選は約1万票、20年の市議選が約2400票だった。「強い組織力がなくても市議選なら勝負できる」との見方がある。 専門家はどうみているのか。地方政治に詳しい福山市立大の前山総一郎教授(都市社会学・組織社会学)はコロナ禍によるライフスタイルの変化を挙げ、「働き方や子育てで感じた生活の疑問を解消するため、代弁者として市政に関わる雰囲気が高まった」と分析。約46万人が暮らす人口規模を踏まえ「流入が盛んで人材が多様。まちづくりに熱心な企業も多く、地元に貢献するための下地がある」とも指摘する。
中国新聞社