クリスティアン・ゼービングＣＥＯ

（ブルームバーグ）： ドイツ銀行の７－９月（第３四半期）は、投資銀行部門の収入が増加した。過去からの負の遺産ともいえる係争の大部分が解決したこともあり、同行は追加の自社株買いの承認を申請した。

債券・通貨トレーディング収入は11％増加し、米国勢を上回る増収となった。 Ｍ＆Ａ（企業の合併・買収）助言や株式・債券の引き受けによる収入は24%増えた。

法人向け銀行およびプライベートバンク部門は、金利低下による収入減と貸倒引当金積み増しで減収となった。

クリスティアン・ゼービング最高経営責任者（ＣＥＯ）は、収益性を改善し中期的に80億ユーロ（約１兆3000億円）以上を株主に還元することを約束している。リテール銀行のポストバンク買収に関連する大半の訴訟問題を解決し約４億4000万ユーロの引当金を戻し入れたことで、新たな自社株買い戻しの計画が可能になった。

ゼービングＣＥＯは発表資料で「レガシー訴訟問題を過去のものとする上で重要な進展があった。同時に、第３四半期として最高の営業部門の利益も達成した。これにより、利益成長を続け当初目標以上を株主に還元することへの自信が深まった」と説明した。

自社株買いの規模と時期については明らかにしなかった。

法人向け銀行業務の収入は前年同期比で３％減、リテールおよび富裕層向け事業を統合したプライベートバンクの収入は１％減だった。 不良債権に対する引当金は、プライベートバンク部門を中心に前年から２倍に増加した。

商業用不動産関連の引当金は前期から減少した。「ポートフォリオ全体の質はおおむね安定している」という。

全行の収入に最も大きく貢献している投資銀行部門の収入は前年同期比11％増。資産運用部門と同じ増収率だった。ゼービングＣＥＯは、手数料収入を増やすために昨年ヌミスを買収し、アドバイザリー事業を拡大した。ディールメーキングの低迷を逆手に取って競合他社からの花形バンカー引き抜きにも成功している。