墓じまい、永代供養、生前葬…知っておくと、確実に費用と手間を削減できる〈お墓〉と〈葬式〉のハナシ【経済ジャーナリストが解説】
自由度の高い「生前葬」という選択肢も…最近の「葬式」事情
お墓も大事ですが、お葬式も大事です。 親も、かなり高齢になると、そうしたことが気になるようです。 私の父は、生前に、自分の葬式に呼ぶ人の一覧表をつくり、葬儀委員長まで自分で指名してから逝きました。 「遺影」も生前に自分で一番気に入ったものを選び、95歳で旅立ちました。 私の父のように、自分の葬式を自分の思いどおりにやって、多くの人に惜しまれながら人生の最後を綺麗に締めくくって逝きたいという人は、他にもいらっしゃるのではないかと思います。 「誰を呼びたいか」は、親の生前に確認しておきたい 「どんな葬式にしたい」などと、いきなりこうした話を切り出すのもおかしいので、本人に聞くのははばかられると思うかもしれません。 ただ、親が葬式のことを口にしたら、せめて誰を呼びたいのかくらいは、聞いておいたほうがいいでしょう。 親戚の方の葬儀や、両親が親しかった方の葬儀にいっしょに出かけた折にでも、それとなく聞いてみるといいかもしれません。 また、お盆などに家に帰り、先祖の墓参りをした時にでも、それとなく「葬式って、みんな、どこまで人を呼んでいるのかな」などと、親と話してみるのもいいのではないでしょうか。 葬式については、どこまで人を呼ばなくてはいけないといった決まりはありません。最近は、内輪だけでひっそりと葬儀を済ますというケースも少なくありません。 ですが、親、子、孫、兄弟姉妹など、二親等内の血縁親族については、声をかけておいたほうが、あとでいろいろと言われることを避けられます。 葬式は、故人のために行うものと思いがちですが、実際には、残された遺族のために行うという側面も少なくありません。 残された遺族の悲しみを和らげ、故人とのお別れをして手を合わせ、成仏を心から祈る。最後に火葬場で、遺骨となった故人を骨壼に納めることで、心の整理ができるという人も多いのではないでしょうか。 また、葬式は、故人が生前に付き合っていた仕事仲間や友人、知人などに、他界したことを広く知らせる儀式でもあります。ですから、最後にお別れを言いたい人を呼ぶべきで、故人のリストになくても、来たいという人はすべて来ていただくのがいいでしょう。 家族だけでひっそりと済ませる時も、故人と親しかった人には、電話でいいので連絡だけはしましょう。訃報の連絡は、基本的には葬式が終わってからで大丈夫です。 その際、家族葬だったので呼べなかったこと、故人が生前にとても良くしてもらって感謝していたこと、折を見て線香をあげに来てほしいということも伝えましょう。 手紙で事後報告する場合には、「拝啓」などの言葉や時候の挨拶などは使わず、「益々」や「次々」といった重ね言葉は、不幸を繰り返す、不幸を重ねると言われるので避けましょう。また、「苦しむ」「浮かばれぬ」などの忌み言葉も避けましょう。 生命保険の「リビングニーズ特約」を活用し、「生前葬」の費用に充てる 最近は、生きているうちに葬式を済ませる「生前葬」も行われるようになりました。 通常の葬式には、遺族の気持ちの整理という側面がありますが、「生前葬」は、すべてを自分で決めることができ、葬式の作法や段取り、しきたりにもしばられることがありません。 私もちょっと出演させていただいた映画「老後の資金がありません!」では、主人公の義理の母を演じた草笛光子さんが、楽しい「生前葬」をしました。生前葬のお金は、葬儀を企画する本人が出すので、家族の経済的な負担は減ります。 生前葬をする人には、医者からガンなどの余命宣告を受けたケースも少なくありません。生命保険には、余命6ヶ月を宣告されると、その時点で保険金が出る「リビングニーズ特約」がついているものも多くあります。 「リビングニーズ特約」は、死にゆく人が生きているうちに豊かな暮らしを送るための特約ですから、こうしたものを活用してもいいでしょう。 荻原 博子 経済ジャーナリスト
荻原 博子