バイデンでもトランプでもなく、ロバート・F・ケネディJrを応援しようよ!
第35代大統領ジョン・F・ケネディの甥
私はアメリカ大統領選に立候補しているロバート・F・ケネディJr(下の写真)のファンである。彼は、第35代大統領ジョン・F・ケネディの甥であり、そのもとで司法長官だった弟ロバートの息子である。 水原一平容疑者は誘惑に耐えられるか…「アメリカの刑務所」で横行する野球賭博の実態 なぜ彼を遠い日本から応援しているかというと、リベラル・デモクラシーを推進するために民主主義を世界中に輸出しようとする結果、そこら中で戦争を引き起こすことに躊躇しないジョー・バイデン大統領や、アメリカの介入主義を批判しながらも、自分の個人的利益を最優先しながら嘘ばかりついているドナルド・トランプ前大統領よりも、少しだけまともであると思うからだ。 ファンになったのは最近ではない。2023年6月1日付で、拙稿「私たちは第35代大統領ジョン・F・ケネディの甥の主張に耳を傾けなければならない」という記事を公表した。 ここでは、ケネディJrの主張を紹介することで、アメリカ大統領選への関心を喚起したいと思う。『潮』6月号には、拙稿「地政学からみたアメリカ大統領選」が収載予定なので、そちらも参考にしてほしい。
ケネディJrのツイートに注目
2023年6月20日のケネディJrのウクライナ戦争に対するツイートに注目しなければならない。それはつぎのような内容である。 「私はバイデン大統領に二つの謝罪を求める。第一に、アメリカ国民を欺き、偽りの口実で醜い代理戦争を支持させたこと。第二に、より重要なことだが、ウクライナ国民に対し、米国の(想像上の)地政学的利益のために、ウクライナをこの戦争に巻き込み、国を破滅させたことを」 ケネディJrは、ウクライナ戦争がロシアによって引き起こされた侵略戦争であるという一面だけに注目するのではなく、その戦争の引き金となった米国政府のウクライナでのやり口にしっかりと目を向けたうえで、バイデン大統領を批判しているのだ。 The Economistが興味深いことを書いているので紹介しよう。彼が8歳だった1962年、米国はキューバ・ミサイル危機を迎えた。ケネディJrがこの危機から得た教訓は、大統領だったJFK(ジョン・F・ケネディ)がソ連の指導者ニキータ・フルシチョフに対して行ったように、「平和を望むなら、相手の立場に立って考えることができなければならない」ということだった。 つまり、米国主導で北大西洋条約機構(NATO)を東方に拡大させたことに対して、ロシアがどう危機感を募らせたを、米国は注意深く想像しなければならなかったのだ。しかし、米国は「ロシアの立場に立って考える」ことがないまま、ウクライナを支配下に置こうと、2014年のウクライナのクーデターを支援し、その後も東方拡大を継続しようとした。このため、「アメリカは2022年のロシアの侵攻を誘発したとケネディ(Jr)は考えている」とThe Economistは指摘している。 このケネディJrの見解は、外国に民主主義と自由が広がれば、アメリカの安全保障にもつながるとみなすリベラル・デモクラシーの主張を否定するものだ。実は、米国では長くこのリベラル・デモクラシーに基づく外交が民主党出身の大統領だけでなく、共和党出身の大統領によっても継続されてきた。 しかし、第二次世界大戦後に確立された法律、規範、多国間機関のシステムは、労働力、商品、資本の自由な移動を可能にし、だれにとってもより平和で豊かな世界をもたらすという話が「神話」にすぎなかったのである。 米国の富裕層はますます富み、労働者はますます貧しくなった。もはや「アメリカン・ドリームは消失した」のだ。ケネディJrはこの事実に目を背けていない。この認識は基本的にトランプと同じである。