【阪神】ヒゲの救世主や!ビーズリー来日初完投勝利 岡田監督に「完封したい」と直訴
<日本生命セ・パ交流戦:阪神4-1西武>◇8日◇甲子園 ヒゲの救世主や! 阪神ジェレミー・ビーズリー投手(28)が4安打1失点の好投で、来日初完投勝利を挙げた。 【写真】トラッキー人形を手にガッツポーズするビーズリー(左) 2年目の今年は右肩のコンディション不良で開幕こそ出遅れるも、5月中旬から無傷の3連勝。完投を直訴した助っ人を、岡田彰布監督(66)も大絶賛だ。チームも5カードぶりの勝ち越しで「日本生命セ・パ交流戦」の最下位から脱出。復調の兆しが見えてきた。 ◇ ◇ ◇ トラッキー人形を大事に抱えお立ち台に立ったビーズリーは、笑顔でファンへ呼びかけた。「タイガースファンズ、明日も勝つバイ!」。女房役の梅野の決めぜりふを、ちゃっかり拝借。「ゲーム前はうどんを食べたよ」とすっかり日本に溶け込むヒゲの助っ人が、虎の救世主になった。 併殺も三振もスイスイ奪った。5回先頭の長谷川に左前打を許すも、続く西川を初球で二ゴロ併殺。6回1死二、三塁のピンチでは山野辺、栗山から連続三振を奪った。「制球も良かったけど、走者が出てから集中して自分のボールを制球できたのが良かったよ」。自身も納得の投球だった。 打順が巡ってくる8回の攻撃。岡田監督から「どうする?」とたずねられると「完封したい」と直訴した。「代えようと思ったんだけどね」という指揮官を翻意させる熱量で続投。9回先頭の源田に中前打を浴び、四球と暴投で1死二、三塁。二ゴロの間に1点を失うと、心底悔しそうな表情を浮かべた。それでも、大学時代以来の完投勝利は譲らなかった。 岡田監督は素直すぎる姿に表情を緩めた。「完封したかったんやろうな。悔しがっとったもんな、1点の時なあ。そんなんしゃあないわ、あんなんバックホーム体制できるか、思っとったわ」。そんな舞台裏で笑わせられるのも、快投があってこそ。「もう、やっぱりビーズリー。今日は本当に、ビーズリーに尽きる」と絶賛した。 開幕こそ右肩のコンディション不良で出遅れたが、来日最多の119球を投げて無傷の3連勝。昨シーズン途中に先発転向した策が功を奏している。岡田監督は「はまったというかな。自分のペースで行ければ、これからもずーっと、行ってくれそうな感じはするよな、おーん」と信頼を寄せる。 ビーズリーも、前日の指揮官の言葉を胸に戦っていた。「『5割になってここから開幕だ』と。昨日、今日と違うチームになったように生き生きとしている。このまま乗って勝っていけるんじゃないかな」。5カードぶりの勝ち越しを決めて、交流戦最下位からも脱出。頼もしい助っ人とともに、ここから再び波に乗っていく。【磯綾乃】 ▽阪神安藤投手コーチ(ビーズリーについて)「もうずっと安定していますしね。今日も素晴らしかったと思います。最後はちょっと力んでいましたけど、完封を意識したのかなと。でも本当に1人で投げてくれたので、ナイスピッチングでしたね」 ▼ビーズリーが来日初完投勝利を挙げた。阪神の外国人投手では、22年6月12日にガンケルがオリックス戦で記録して以来、2年ぶり。▼これで阪神の今季の完投数は、才木3、村上1と合わせ5となった。日本ハム、ロッテと並び12球団最多タイだ。 ○…2番前川がつなぎ役を担った。5回1死一塁の場面で右前打を放ち、一、三塁の好機を演出。続く3番森下のタイムリーにつなげた。7回には左腕ヤンの変化球を中前に運んでマルチ安打をマーク。それでも「今日一番大事だったのは2打席目だったので。あそこで結果残せるようにしないといけないなというのが一番」。3回1死二、三塁の好機で左飛に倒れた打席を悔やんだ。 ○…6番渡辺が今季初のマルチ安打を記録した。6回に右前打、8回には左越え二塁打をマーク。5試合連続安打と波に乗っているが「ファームからやってきたことを上でもしっかりやることだけ。特に変わったことはしてない」と冷静だ。連勝について「(7日に)『今日から開幕』とミーティングで言われたし、みんなで一丸となって頑張りたい」と意気込んだ。