大谷翔平選手、悲願へ…ワールドシリーズで「ドジャーズ」と「ヤンキース」が過去優勝した年の「米国実質GDP成長率」、驚愕の結果【解説:エコノミスト宅森昭吉氏】
人気チームのリーグ優勝年は平均でみて、実質GDP成長率が高い傾向
メジャーリーグは20世紀初期から長いあいだ全部で16球団でした。エクスパンションによって1961年にエンゼルス、レンジャーズの2球団が、1962年のアストロズ、メッツの2球団が創設され、1962年には全20球団になりました。現在の全30球団になったのは1998年です。 1961年以降のメジャーリーグの、アメリカンリーグとナショナルリーグのそれぞれの優勝チームごとに、実質GDP成長率の平均を計算しました。1961年から2023年までの63年間(ストライキで中止の1994年を含む)の実質GDP成長率・平均は+3.04%です。 ヤンキースはリーグ優勝回数15回で実質GDP成長率・平均は+3.69%です。ドジャースはリーグ優勝回数11回で実質GDP成長率・平均は+3.37%です。大都市を本拠地にする人気チームの両チームは、どちらも63年間の平均を上回るという結果になりました。 「米国実質GDP」が1~3月期と打って変わって伸び始めたワケ 米国の実質GDPを事前に判断するときに役に立つ、地区連銀のデータがあります。そのひとつは、アトランタ連銀が算出・公表しているGDPナウです。米国の実質GDP成長率のリアルタイムの推定値といえるものです。GDP成長率を計算する時点までに公表された関連する経済データを反映して推定値が算出され、データ発表日に合わせて公表されています。 類似データには、NY連銀が毎週金曜日に公開している推計値として、NY連銀スタッフ・ナウキャストもあります。10月18日現在では、これから公表される24年7~9月期の実質GDPアトランタ連銀の推計値が+3.4%、NY連銀の推計値が+3.00%と、どちらもしっかりした+3%台の前期比年率になっています。NY連銀の推計値では10~12月期の推計値が+2.61%となっています。GDPでみるかぎり、米国経済は底堅さが感じられます。 24年の米国実質GDPの前期比年率は、1~3月期が+1.4%と低い伸び率で24暦年の実質GDPの伸び率の鈍化要因になりました。しかし、4~6月期になると+3.0%としっかりした伸び率に。7~9月期をアトランタ連銀とNY連銀の推計値の平均、10~12月期をNY連銀の推計値の前期比年率+3.20%と+2.61%で延長すると、24年の米国実質GDPは前年比+2.82%と+3%に近い、しっかりした成長率になります。 24年1月調査ESPフォーキャスト調査では、24年米国実質GDPの前年比平均見通しは+1.43%と低い数字だったため、様変わりしているのです。ワールドシリーズに進出するのが、ヤンキース、ドジャースというリーグ優勝した年の成長率・平均が高いチームであることと整合的だと思われます。 ※なお、本投稿は情報提供を目的としており、金融取引などを提案するものではありません。 宅森 昭吉(景気探検家・エコノミスト) 三井銀行で東京支店勤務後エコノミスト業務。さくら証券発足時にチーフエコノミスト。さくら投信投資顧問、三井住友アセットマネジメント、三井住友DSアセットマネジメントでもチーフエコノミスト。23年4月からフリー。景気探検家として活動。現在、ESPフォーキャスト調査委員会委員等。
宅森 昭吉