万引きされた化粧品をベトナムに密輸か、SNSで勧誘し指示…違法保管容疑で関係4か所を一斉捜索
警察庁によると、1件当たりの被害額が10万円を超えるドラッグストアでの大量万引き事件は昨年、全国で1119件発生。今年上半期(1~6月)の被害も446件に上り、約6割は関東地方に集中していた。摘発された49人の国籍はベトナムが最多の25人で、日本23人、米国1人だった。
警察庁は、組織的窃盗を繰り返す外国人グループを「匿名・流動型犯罪グループ」(トクリュウ)と位置づけ、7月、全国に捜査体制の強化を指示している。
役割分担
ドラッグストアの運営会社約120社が加盟する「日本チェーンドラッグストア協会」(東京)によると、外国人窃盗団には化粧品やサプリメントなど、小さくて高価な商品をかばんに入れる手口が目立つ。複数人で来店し、実行役、見張り役、店員の「引きつけ役」など役割を分担して、短時間で大量の商品を盗むのが特徴だという。
同協会の担当者は「来店者への積極的な声かけや、店内巡回を呼びかけているが、店側の対策には限界がある。警察に摘発を強化してほしい」と語った。
化粧品・サプリ、日本製人気
ベトナムでは日本製品が人気で、SNSで売買されている。フェイスブック上で「日本」「化粧品」とベトナム語で検索すると、複数アカウントが湿布薬や健康ドリンク、サプリメントなどを出品していた。中にはメーカーの希望小売価格より安値の商品もあり、捜査関係者は「盗品が流通している可能性がある」と指摘する。日本国内では近年、衣料品店「ユニクロ」を狙ったベトナム人による窃盗事件も各地で起きている。
警察庁によると、昨年には、衣料品店での大量万引き事件に関与したとして、ベトナム人4人が摘発された。短期滞在ビザでの入国が目立ち、警察は現地当局と連携して流通経路の特定を進めている。(ハノイ 竹内駿平)