fhána 佐藤純一、新レーベル設立 『メイドラゴン』『スタァライト』“祝祭感”溢れる名曲を手掛ける手腕
『あんスタ』のユニット・Switch、紅月や声優・麻倉ももへの楽曲提供も
佐藤の楽曲は女性ボーカルの印象が強いが、男性の歌う楽曲も素晴らしい楽曲が揃っている。スマートフォンゲーム『あんさんぶるスターズ!』の魔法使いユニット・Switchが歌う「イースター・カーニバル」もその1つだ。聴いている人の気持ちをワクワクさせるようなハッピーなアッパーチューンは、ブラスを交えた疾走感のある2ビートと、3人の楽し気な歌声が印象的。同じく『あんさんぶるスターズ!』の和風ユニット・紅月の歌う「夏鳥の詩 -サマーバード-」も流れるようなストリングスの音色と和楽器の調和が美しい、佐藤節全開の柔らかく爽やかな1曲。熱い和ロックテイストがレパートリーに多い彼らの雰囲気をガラリと変えながらも、しっかりと紅月らしさを残しているバランス感覚は見事だ。 個人的にイチ推しなのが、今年8月に発売された麻倉ももの最新アルバム『ChouChou』に収録されている「Wonderland」という楽曲。疾走感のあるキラキラしたオーケストレーションと、柔らかくも透明感のある麻倉の歌声がマッチしたアップテンポなこのナンバーは、ファンに支えられてきた麻倉がキャリアを重ねたことでファンを導く歌を歌う、という彼女の成長を感じさせるエモーショナルな歌詞と絡み合って、幸福感に溢れた1曲へと仕上がっている。 改めて佐藤の作った楽曲を振り返ってみると、祝祭感、大団円感、幸福感など、人間のポジティブな面を押し出した楽曲が多数を占める。それは佐藤の作る音がそういった面にピタリとハマっているという相性の部分もあるだろうし、彼の音楽の特徴を多くの人が欲しているという需要の部分もあるだろう。11月20日にはfhánaの5thアルバム『The Look of Life』もリリースされるなど、現在も精力的に活動中の佐藤。今後も彼の音楽/活動から目が離せない。
河瀬タツヤ