FRB緊急貸出制度、金融機関が返済ペース加速も-流動性奪う恐れ
(ブルームバーグ): 米連邦準備制度の緊急貸出制度を利用していた銀行が、返済ペースを加速させ、金融システムから流動性を奪う恐れがある。
「バンク・ターム・ファンディング・プログラム(BTFP)」は、シリコンバレー銀行(SVB)破綻に伴う危機の深刻化回避に向け、2023年に新設された。銀行・信用組合が最長1年間、低コストで借り入れできるようにすることで、経営難に陥った金融機関の支援と信頼回復が意図された。
同制度の借入残高は急増し、今年に入り1680億ドル(現在の為替レートで約24兆円)と過去最高を記録した。だが、RBCキャピタル・マーケッツのストラテジスト、アイザック・ブルック氏によれば、米連邦公開市場委員会(FOMC)が0.5ポイントの利下げに動いたことで、BTFPの魅力は薄れつつあるようだ。
FRB緊急貸出制度、利用残高が減少に転じる-借入金利調整で
ブルック氏は24日の顧客向けリポートで、「今後数週間でBTFP融資の早期返済が増え始めるかもしれない。そうでなくても、年末ごろに大部分がロールオフを迎える」と指摘した。
FRB、緊急貸出制度の金利引き上げ-銀行の裁定取引阻止で即日実施
金融機関はBTFPを通じて好条件のローンを利用した。金利は1年物オーバーナイト・インデックス・スワップ(OIS)レートに10ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上乗せした水準で、早期返済に伴うペナルティーもなく、担保として差し入れる米国債とエージェンシー債は額面での評価だった。
ただ一部金融機関が裁定機会の手段としてBTFPを利用していたため、1月に金利が引き上げられた結果、BTFPの借り入れは減少。最新データによると、9月18日までの1週間の借入残高は948億ドルだった。
原題:Fed Rate Cut Paves the Way for Banks to Exit Emergency Facility(抜粋)
(c)2024 Bloomberg L.P.
Alex Harris