<春に挑む・’23センバツ・大分商>/中 投手編 二枚看板、高みを目指す /大分
「迅(じん)、ナイスボール!」。エースの児玉迅(2年)が投げたボールが約50メートル先の相手のグラブに収まると、大きな声が響いた。ボールが戻ると、児玉は何度も同じ動作を繰り返し、フォームをチェックした。 遠投は、体の重心を平行移動させてボールに力を伝えられるようにするためにしている。それができるようになれば投球が安定し、その分、ボールに力が伝わり、回転数も切れも増す。 児玉が安定した投球の重要性を感じたのは2022年秋の九州地区大会だ。神村学園(鹿児島)との1回戦は雨だった。ぬかるんだグラウンドの影響で体重を支えきれずにボールが抜けて四球を出し、五回で交代した。「下半身の踏ん張りがきかなかった。どんな状況でも投げられないと甲子園では勝てない」 遠投に加え、下半身の強化にも取り組む。スクワットや二重重ねのタイヤを飛び越えるトレーニングもした。食事の量を増やし、ベンチプレスをするなど筋力アップにも励み、体重は63キロから9キロ増えた。 児玉と共に二枚看板としてチームを支える飯田凜琥(りく)(2年)は制球力に磨きをかける。九州地区大会準決勝の長崎日大(長崎)戦では、三回途中から登板し、連続長打を浴びて失点を許した。「決め球のスライダーは研究され、高めに浮いたところを相手にとらえられた。球を低めに集めないと抑えられないと感じた」と話す。 大会後、飯田は70~80メートルの遠投を繰り返し、球速のアップを目指す。更に制球力を高めるためにビニールネットに目印を付けてそこに向けて投げる練習を続ける。「球は低めに入るようになってきたが、まだ浮いたり甘く入ったりすることがある」とさらなる高みを目指す。 捕手の二宮力丸(2年)は「児玉は投球の切れや威力が増し、飯田はスライダーの球速が上がった。2人とも更にコントロールに磨きをかけてほしい」と話した。【神山恵】