【私の推しメン対談・藤あや子✕野口五郎】同じ病を乗り越えた2人だからこその“わかり合える部分”
あの有名人が“推し”に会ったら……そんな夢を叶える今回の企画『私の推しメン対談』。「小学生の頃から五郎さまファン」と公言している歌手・藤あや子(63才)が、彼女の“推しメン”野口五郎(68才)と対談した。野口から藤へ贈られたアドバイスについて、そして2人が“病から得たもの”について語る。【全3回の第3回。第1回を読む】 【貴重写真】当時19歳の野口五郎、推し活全開の藤あや子ほか
憂い顔は意外な方法で“作られた”
野口:そういえば、レコードジャケットも驚くような方法で撮られていました。 藤:たとえば、どんな? 野口:『私鉄沿線』のレコードジャケットの写真は、写真家の篠山紀信さんが撮ってくれたんだけど、どこで撮ったと思う? 藤:ええっ? どこだろう。 野口:青山霊園ですよ。 藤:お墓ッ!? 野口:そう、しかも朝から夕方までひとりで霊園に待機させられたの。当時は過密なスケジュールだったのに、ここでボーっとしていていいのかな、と思いつつ、やることもなくブラブラして。 藤:不安じゃありません? 野口:そうなんだよ、夕暮れが近づいて、だんだん心細くなる。するとようやく紀信さんが来て、「じゃあ、そろそろ行こうか、3、2、1」って言ったかと思うと、カウントからタイミングを外して3回だけシャッターを切って……おしまい。 藤:半日かけて3枚撮っただけ!? だからあれほど憂いに満ちた表情に……。 野口:ぼくが自然とそういう表情になるのを待っていたんだろうね。ほかにも渋谷のスクランブル交差点にひとりで立たされたことも。周囲に気づかれたら騒ぎになるから気が気じゃなかった。「早く青に変われ、それですぐに撮影してくれ」って思いながら待機していたの。そんなぼくの焦った顔が撮りたかったんだって。 藤:忙しい最中にもかかわらず、そこまで雰囲気作りにこだわっていたんですね。だから、忘れられないいい作品ができた。納得です。
「声帯を甘やかさない」その教えを守って……
藤:そういえば私も、五郎さんからいただいたアドバイスを守っています。「声帯を甘やかさない」っていう。 野口:7年くらい前に、BS番組のデート企画で共演したときにちょっと話したアレ? あや子さんはきれいな声をしているけど、それは声帯が強いせい。だからといって、甘やかさない方がいいって言ったんだっけ。 藤:はい。先日の歌番組での収録のとき、百恵さんの『秋桜』を歌うことになったのですが、原曲キーだと私にはちょっと高い。半音下げてもらおうかと考えたんですが、五郎師匠のお顔が浮かんで……。弱い自分を打ち消したら、原曲キーで歌えました。 野口:そうそう、あや子さんなら絶対大丈夫。これからも自信をもって声帯を甘やかさずに歌い続けてほしい。 藤:ありがとうございます。はぁ~、改めて五郎さんは本当に“尊い”。容姿も声も素敵だし、ギターの腕も一流、アレンジも自分でされているんですよね。とにかく音楽に対する姿勢が細やか。プロでもここまで追求しません。いまでもコンサートに伺うのですが、年々飛躍していて……。私の目にはいま、五郎さまの背中から翼が生えています。 野口:翼って、大げさな(笑い)。