大統領選が終わるまで日本は「利上げ」を本格的に出来ない!
イエレン訪中
Bloomberg 3月24日「イエレン米財務長官、4月に中国訪問」と伝えられる。 【写真】米中新貿易戦争勃発で習近平秘策の「新質生産力」が壊滅へ イエレン氏は昨年7月にも北京を訪れているが、「米中関係が微妙な中で」米国の財務長官が度々、「敵対する共産主義国家」を訪問することは色々な憶測を呼ぶ。 市場では「米国国債」と結びつける声も聞かれる。 日本国債に占める海外投資家の割合は徐々に増加傾向とはいえ15%を少し下回った水準だが、米国債の同比率は3割~4割程度とかなり高い。 その「海外投資家」の中で国別でトップなのがロイター3月20日「海外勢の米国債保有額、1月は過去最高から減少 日本は保有拡大」でも伝えられた、日本である。 他の国々が米国債の保有を減らす中で、なかなか「利上げ」をしない日本が、米国債市場を支えていることは重要な事実だ。 (日本の「低金利」を大きな原因として)ドル円相場が150円を超えてさらに円安になろうとしているのに、過去のような「米国貿易赤字に絡めた円安批判」が米国サイドから全く聞こえてこない。「日本が低金利であることによって、(比較において)高金利の米国債に円資金が流れる」ことを、FRBや米政府が切望していることは明白だ。 だが、その植田日銀も、インフレが進行するなかでいつまでも「低金利」を維持することはできないと思われる。また、日銀がどう考えようと、少しでもかじ取りを誤れば、市場の動向によって金利が急騰しかねない状況でもある。 それに対して、バイデン民主党政権は2022年11月17日公開「バイデンはバラ撒くから『良いおじさん』? 中間選挙『予想外」の意味」との「バラマキ方針」を変えていないから、その資金源となる米国債の大量発行は何としてでも続けたい。 そこで浮上するのが、現在日本に次ぐ米国債保有残高第2位の中国である。2019年までは日本を上回っていたが、その後もジェトロの図「海外における米国債の保有残高」のように、日本と並ぶ大きなプレゼンスを持っている。 中国が米国債の保有を減らしているのは、米中関係の悪化だけが理由では無い。ロシアを始めとする国々に対しての米国の「限度を超えた経済制裁」の刃が自国にも向かうことを恐れ、「ドル(米国)依存の是正」を行うためだと考えられる。 そこで、イエレン長官が対中経済制裁の緩和などを持ちかけ、また何らかの形で中国の立場を保証して、米国債保有の増加(少なくとも現状より減らさないこと)を要請しているのではないかというわけである。 それ以外にイエレン氏がわざわざ訪中する理由が見当たらないので、この市場の憶測の信憑性はかなり高いと思われる。