チェッカーズ デビュー40周年、“混沌の80年代カルチャー”から生まれた伝説のロックバンドの軌跡
1980年代から1990年代にかけて、一世を風靡した伝説の男性7人組ロックバンド・チェッカーズ。数々の名曲であっという間に全国区になった同バンドが、2023年12月20日(水)に40周年記念ラストライブを最新リマスター映像で収録したBlu-rayを発売する。昭和・平成を駆け抜け、令和のいまも人々を魅了し続けるチェッカーズの軌跡を追う。 【写真】いま見ても斬新な、ポップでキッチュなファッション ■社会現象を巻き起こした伝説のバンド「チェッカーズ」 今年デビュー40周年を迎えたチェッカーズ。1983年に「ギザギザハートの子守唄」でデビューし、当時では珍しい長い前髪にオシャレなファッションという面がまず注目を浴びた。ミステリアスで、ちょっとだけワルの匂いを漂わせる怪しい雰囲気の男性バンド。しかし現在の知名度こそ抜群のデビュー曲は、発売当初から大ヒット…というわけではなかった。 彼らが世間からの注目を集めたきっかけは、1984年に発売した2ndシングル「涙のリクエスト」からだ。中森明菜などの作詞も手掛ける売野雅勇が歌詞を手掛けたタイトルで、デビュー曲と3rdシングル「哀しくてジェラシー」の3曲同時にオリコンチャートベスト10入りさせるほどの爆発的ヒットとなった。同曲の売上枚数は、約66.2万枚を記録する。 文字通り社会現象になるほどの人気ぶりを見せた同グループは、2ndシングルをリリースした1984年に第35回紅白歌合戦に初出場。翌1985年にはシングル「ジュリアに傷心」がオリコンチャート1位を記録し、チェッカーズ初出演の映画「CHECKERS IN TAN TAN たぬき」も公開されるなど話題を呼んだ。 輝かしい才能を発揮し、数々の名曲を世に送り出してきたチェッカーズ。当時から彼らは、ファンだけでなく日本全国を虜にしていた。 ■今も色褪せないチェッカーズの魅力の源泉 同グループが人気を博した根本は、“カルチャーの融合”にあったと見る。1980年代を振り返ると、初頭には校内暴力の急増が話題になり、同時に海援隊の「贈る言葉」、寺尾聡の「ルビーの指輪」といった歌謡曲が流行。ファッションの面でもカラフルな衣装を身にまとって踊る「竹の子族」や、デザイナーの個性が全面に出た“DCブランド”が話題に集めた。 アイドル全盛期でもある80年代。前述のとおり、あらゆるカルチャーが混沌と混ざりあっていた時代でもある。そのなかでチェッカーズが持っていたのがワルの雰囲気と、先進的なファッションセンスだ。 少し子どもっぽいヤンチャな歌詞をコーラスやサックスを交えてムーディーに歌い上げ、かつポップな曲調の世界観に落とし込んだ楽曲たち。そしてストリートっぽいルーズなサイズ感の服を、緻密な計算のうえで着こなす強いこだわり。長い前髪とカラフルでポップなファッションは、わかりやすいアイコンとして“聖子ちゃんカット”などと同様に若者世代へ浸透していった。 カオスな80年代にあって、新しい時代を生きる世代が求める多くのものを内包していたチェッカーズ。さらに彼らの人気を“伝説的”なものまで押し上げた理由は、彼らの歩んできた歴史のドラマ性にもある。 ■悲劇を乗り越えて立ち上がり、迎えたアニバーサリーイヤー アイドルとしての人気絶頂期を迎えるなか、1987年には日本武道館で、1988年には東京ドームでのコンサートなど話題にはこと欠かなかった同グループ。一方で1990年前後にはメンバーのソロ活動や結婚、そして子どもの誕生といったイベントも公表された。音楽活動だけでなく、プライベートでも話題を集めるようになったのだ。 しかし世間からの人気が冷めやらぬ1992年の年末、12月のラストツアーを終えたあと同年の紅白歌合戦を最後の舞台として、チェッカーズは解散した。アイドル的人気を誇る伝説のバンドの解散が、ファンにとってどれほどの衝撃だったのかは想像に難くない。 そんなチェッカーズは、今年でデビュー40周年を迎える。彼らのパフォーマンスは2021年に開設された同グループの公式YouTubeでも視聴可能であるほか、メモリアルイヤーを祝して発売された「チェッカーズ~40th Anniversary~NHKプレミアムBlu-ray BOX」にも注目だ。同商品は、彼らがNHKの音楽番組で披露したパフォーマンス映像を収録。チェッカーズ最後の舞台である1992年「第43回NHK紅白歌合戦」など、忘れられないライブの数々を4Kと同等のクオリティにアップグレードされた映像で楽しめるという。 セオリーへの反抗心、一見すると奇抜に映る先進的なスタイル、圧倒的実力…若者たちが求めるものを見せてくれたチェッカーズ。彼らが描いてきた輝かしい栄光の軌跡は、いまなおチェッカーズを“過去”にしない。いつの時代の若者でも感じる鋭いナイーブさ。それを形にしてきた彼らの音楽を、これからも大事に語り継いでいきたいものだ。