Novel Core、Chilli Beans.、FRUITS ZIPPER、TETORA……武道館ライブ初開催から占う2024年のブレイク
心が沈んでしまうようなニュースが新年早々立て続けに飛び込んでくる2024年。否応無く暗澹としてしまう我々の心を音楽は明るく照らし出してくれる。2023年も様々なアーティストが活躍したが、果たして2024年はどんなアーティストが音楽シーンを彩ってくれるのだろうか。本稿では2024年に日本武道館公演を開催する若手アーティストを軸に、今年活躍に期待のかかるアーティストを占ってみたい。 【画像】Novel Core、ステージで大盛り上がり バンドやアイドルをはじめ、ライブ会場において一つの聖地として挙げられる日本武道館。会場の使い方にもよるが、360度全ての客席を使うと約14000人、ステージや機材で使えない席が発生する場合でも約7~8000人程度のキャパシティを持つ大舞台だ。日本武道館を完売し、1~2万人規模を想定するアリーナクラスの会場も見据えるようなステージでもある。 大晦日にお茶の間を盛り上げた『第74回 NHK紅白歌合戦』の出場アーティストも多数日本武道館での公演を開催する。 『紅白』のトップバッターとして番組を勢いづかせた新しい学校のリーダーズは、1月9日に初となる日本武道館公演『青春襲来』を開催。2023年10月29日に東京体育館で開催した初のアリーナワンマンライブ『HAMIDASHITEIKU』をソールドアウトさせたばかりのリーダーズ。開催告知から2カ月という短い期間であったものの、日本武道館のチケットは完売。2023年の勢いをそのままに、大盛況の中で2024年の幕開けを切ったのではないだろうか。 『紅白』出場歌手ではキタニタツヤも初となる日本武道館公演『10th Anniversary Live 彼は天井から見ている』を開催する。2023年に「青のすみか」がテレビアニメ『呪術廻戦』の第2期「懐玉・玉折」オープニングテーマとして大ヒット。全国17カ所をまわるライブツアー『UNFADED BLUE』の全公演ソールドアウトを受け、東名阪でのホール公演を2024年1月に追加開催。東京はNHKホールで行われるが、すでにソールドアウトしている。日本武道館公演を開催する5月14日は、キタニタツヤが“こんにちは谷田さん”名義で「鯨と水星」をニコニコ動画に投稿した日からちょうど丸10年となる記念日。公演名は、こんにちは谷田さん名義の1stアルバム『彼は天井から見ている』からの引用だ。公演日、公演名からも感じ取れる通り、キタニタツヤにとってこの日本武道館は節目となるメモリアルな公演となることだろう。 ラッパー/シンガーソングライターのNovel Coreは、1月17日に日本武道館でのライブ『ONEMAN LIVE -I AM THE- at 日本武道館』を開催。SKY-HIが代表を務めるBMSGのアーティストとしては初の日本武道館ワンマンライブとなる。ライブハウスを主戦場としながら近年着実にキャパシティを広げてきたNovelCore。日本武道館も発表から早々にソールドアウトしているように、その勢いは止まることを知らない。日本武道館のステージでは、彼が次に目指すビジョンを見ることができるだろう。 ネオミクスチャーバンド Kroiは、1月20日に『Kroi Live at 日本武道館』を開催。昨年はZeppクラスのライブハウスツアーを開催し、年末の『COUNTDOWN JAPAN 23/24』では12月28日に「COSMO STAGE」のトリを務め、今回の日本武道館公演もすでにソールドアウトするなど、着実に人気を獲得している。様々な音楽ジャンルを横断するKroiの新世代サウンドは、同会場の大舞台でどんな響きを見せるのか。 Chilli Beans.は2月5日に『Chilli Beans."Welcome to My Castle"at Budokan』を開催。昨年秋には全国5カ所のZeppを含むワンマンツアーを成功に収めたばかりのChilli Beans。そのほかテレビアニメ『ONE PIECE』のエンディングテーマ「Raise」やドラマ『時をかけるな、恋人たち』(カンテレ・フジテレビ系)の主題歌「I like you」を担当するなど、躍進の1年であった。日本武道館ライブは、現時点の集大成でありつつも、この先の通過点となるようなライブになりそうだ。 水曜日のカンパネラは3月16日に『日本武道館単独公演 ~METEOR SHOWER~』を開催する。水曜日のカンパネラとしては2017年3月に『八角宇宙』と銘打った日本武道館公演を開催しているが、2代目主演・歌唱担当として詩羽が加入してからは初となる。詩羽の加入によって水曜日のカンパネラというユニットの体質も大きく変化し、特に「エジソン」のヒットはユニットの名前を世に大きく広めるきっかけとなった。ワンマンライブを積極的に開催するタイプのユニットではないこともあり、ライブ実績を振り返ると日本武道館公演はチャレンジングにも思えるが、2023年は数多くの音楽イベントへの出演だけでなく、詩羽がテレビドラマ『最高の教師 1年後、私は生徒に■された』(日本テレビ系)や映画『アイスクリームフィーバー』で演技に挑戦、さらには「ピザハット」や「JBL」などのCMキャラクターとしての抜擢など、音楽の枠を超えた活動も展開してきた。音楽ファンならずともその活躍ぶりに注目が集まっている今、日本武道館は水曜日のカンパネラに相応しいステージとなるだろう。 日本武道館はロックバンドの聖地でもあるが、近年ではアイドルにとっても重要な位置づけのライブ会場でもある。3月14日には5人組アイドルグループ・#ババババンビがワンマンライブ『馬鹿騒ぎ“天下統一”』を開催。#ババババンビはグループ結成時から日本武道館でのライブを目標として掲げており、昨年末には前哨戦となる『富士山to武道館』と題した全国7カ所のツアーを開催。これまでの会場規模から考えると、大きな挑戦とも言える日本武道館のステージ。メンバー、ファンにとって間違いなく記念碑的なライブとなるだろう。 アイドルの日本武道館公演で言えば、FRUITS ZIPPERも見逃せない。5月18日に『FRUITS ZIPPER 2nd ANNIVERSARY SPECIAL LIVE 2024』を開催するFRUITS ZIPPERは、2022年結成の新進気鋭のグループでありながら、きゃりーぱみゅぱみゅや新しい学校のリーダーズを輩出したアソビシステムのプロジェクト「KAWAII LAB.」から誕生したアイドルグループということで注目度は高い。楽曲「わたしの一番かわいいところ」はTikTokを中心に人気を獲得し、楽曲の視聴数は9億回を超える。昨年10月28日には『FRUITS ZIPPER JAPAN TOUR 2023 -AUTUMN-』のツアーファイナルとして東京体育館で初のアリーナ公演を開催。武道館へのお膳立てはばっちりと言っていいだろう。 Tempalayは初の日本武道館公演『惑星X』を10月3日に開催することを元日に発表。同公演について昨年12月に開催地を“銀河系のどこか”と発表していたが、今回のアナウンスに驚いたファンも多かったのではないだろうか。直近でのライブ実績としては各地のZeppを含むライブハウスツアーを行なっており、彼らにとって武道館は申し分ないステージ。Tempalayのサイケデリックな音像によって、10月3日は日本武道館が謎の惑星Xとなるだろう。 谷口喜多朗のソロプロジェクト・Teleも6月1日に日本武道館公演を開催する。ワンマンツアーの初日公演となり、開催日は谷口の誕生日。そして1stアルバム『NEW BORN GHOST』のリリース記念日でもある。SAKEROCKやゆらゆら帝国、フィッシュマンズから影響を受けたというTeleの音楽は、気持ちよさと切実さに満ちている。2022年1月のプロジェクト始動から約2年半、初ワンマンライブから約1年半という凄まじいスピードでの武道館公演開催はまさに快挙だ。 インディーズバンド・TETORAも今年8月に『TETORA 武道館でワンマン』と題したワンマンライブを日本武道館で開催する。ストリーミング未解禁、インディーズでありながらの開催ということで、Teleとはまた違う形の快挙と言えるだろう。シンプルながら味わい深いバンドアンサンブルに上野羽有音(Vo/Gt)のハスキーボイスが聴くものの胸を締めつけるTETORA。ワンマンライブではなく音楽フェスや対バンライブを年間通して回り続けることで地力をつけてきたTETORAのライブ力が試されるワンマン公演になるだろう。 2024年に日本武道館公演を初開催する若手アーティストは続々と登場している。それを足がかりに、さらなる飛翔を遂げるアーティストに期待だ。
ふじもと