さようなら黒部湖遊覧船 55年の歴史に幕 最終日に482人「残念」「続けて」
●Tシャツなど記念グッズ完売 満水時に標高1448メートルとなる黒部湖を巡る遊覧船が10日、営業を終了し、55年の歴史に幕を閉じた。利用者の減少と船が老朽化したためで、運航する関西電力グループの関電アメニックス(大阪市)が廃止を決めた。最終日は東京や仙台市など富山県外のファンら482人が乗船し、船上から見納めとなる黒部峡谷の山並みや黒部ダムの景色を楽しみ、別れを惜しんだ。 黒部湖の遊覧船は1969(昭和44)年に営業を開始し、毎年6月1日~11月10日に運航した。現在は2代目の船「ガルベ」(定員80人)が運航し、乗船客数はピーク時の2003年には5万4503人に達したが、団体旅行客の減少などで現在は半数以下にとどまっていた。 10日は利用者から「営業終了は残念でならない」「まだ続けてほしい」などの声が聞かれた。Tシャツや手ぬぐいなど遊覧船の記念グッズは完売し、乗船者に記念の缶バッジ付き乗船券が配布された。船着き場ではガルベの名にちなんだ弁当も人気を集めた。 最終便には遊覧船の歴代船長ら約20人が集まり、現船長で運航管理者の大蔵春美さんに花束が贈られた。愛知県豊田市から訪れた利用者から黒部ダムと遊覧船を描いた絵が関電アメニックスに寄贈された。最後の乗船客にスタッフ全員で手を振り、運航を見送った。