[山口県]山口市への移住体験をエッセーに 洋画家・焼き菓子店オーナーの牛尾さん、注意点など紹介
「都会を離れて古民家暮らしはじめました」
山口市の洋画家で焼き菓子店オーナーの牛尾篤さん(65)が、東京から山口への移住経験をつづったエッセー集を出版した。夫婦2人と猫1匹で移住して12年を迎えた牛尾さん。「大都市のみに関心を向けることなく、多くの人に山口市に興味を持ってもらい、できれば住んでほしい」と願う。 牛尾さんは島根県浜田市出身。多摩美術大油絵科を卒業後にオーストリアの国立ウィーン応用美術大に留学し、帰国後に東京、千葉、埼玉でイラストレーターとして活躍。両親の面倒を見るため帰郷することが増え、53歳の時にふるさとに近い山口へ移住した。 エッセー集は「都会を離れて古民家暮らしはじめました」と題し、大殿地区の一の坂川沿いにある古民家を移住先に選んで妻の恵美子さん(55)が代表を務める焼き菓子店「YAOZE(やをぜ)」を自宅兼店舗として開業したことや、国宝「瑠璃光寺五重塔」の近くに廃屋を活用した2店舗目の開店にこぎ着けた経緯などをつづった。 地方への移住を検討する人の参考になるよう、移住先を選ぶ際のポイントや、インターネット環境の充実により地方でも情報発信ができること、地方暮らしの注意点などを自身の経験から紹介している。文中のイラストは自ら筆を握った。 「東京は人が多すぎるし、家賃や物価も高くてお金がかかり、将来の生活が不安だった」と振り返る牛尾さん。移住後も自宅兼店舗にアトリエを構え、県美展で優秀賞、岡本太郎現代芸術賞特別賞を受賞するなど意欲的に創作活動に取り組む。 「大殿エリアはよく訪れた鎌倉に雰囲気が似ているけど、ゆったりとしていて過ごしやすい。リモートワークで仕事ができれば地方に住むことができる」と笑顔で話し、「心も仕事も軽やかになる」という地方移住を勧める。 牛尾さんのエッセー集は亜紀書房発行。税別1700円。