バキバキの人は要注意! スマホのガラス製フィルム、ひび割れたまま使って指切る危険性 メーカーの大半は注意喚起せず
「スマホのガラス製フィルム 割れたまま使うのは危険!」。国民生活センターは11月、こう題して消費者に注意を呼びかけた。割れたガラス製フィルムをそのまま使っていた学生がポケットからスマートフォンを取り出す際、小指にガラスが刺さって7針を縫うけがを負ったという。こうした危険性を知らずに、ひび割れたガラス製フィルムを使い続けている人は少なくないと思われるが、メーカーの大半は注意喚起をしていない。大手メーカーのエレコム(大阪市)は国民生活センターの発表を受け、「包装箱への注意喚起の記載を前向きに検討したい」としている。 【画像】割れたガラス製フィルムの危険性を訴える国民生活センターの発表資料
■記者も指を切る
消費者庁と国民生活センターが運用する事故情報データバンクで調べると、ガラス製フィルムによる事故はこれまでに10件ほど報告されている。実は、記者もポケットからスマホを取り出そうとした際に、ひび割れたガラス製フィルムで親指を切った経験がある。 記者がけがしたのは11月初旬。2年ほど前に貼ったガラス製フィルムは数回の落下の衝撃により、全体に数本のひびが入っており、右上の角は細かいひびが複数入って潰れたようになっていた。この角のガラスが潰れた所で指先を切ってしまった。ひびによるけがの可能性を全く想定せず、毎日何時間も安心して触っていたため「スマホでけがするとは」と大きくショックを受けた。 けがを負って真っ先に脳裏に浮かんだのは、バキバキにひびが入ったガラス製フィルムを使い続けている友人や同僚たち。ガラス製フィルムは飛散防止加工のおかげで割れても破片が飛び散ることなく、使用感はあまり変わらない。そのためか、ひびが入っても使い続ける人がいる。記者もその一人だった。よくよく考えれば、ガラスの割れた所に触れればけがすることは当たり前だが、「割れたフィルムにも危険性があるのなら、最初からそう言ってほしかった…」と悲しくなった。
■注意喚起しているメーカーは少ない
割れたガラス製フィルムの危険性についてインターネットで調べると、東京都も2020年と21年に注意喚起していた。都の報告書によると、ガラス製フィルムの商品20点のうち、割れた状態での使用に対する注意事項が包装箱やホームページに記されていたのは6点のみ。記者が長野市内の家電量販店で調べると、最新のiPhone15用のガラス製フィルムを販売する8社のうち、けがの可能性を包装箱に記していたのは2社だけだった。 大手のエレコムもホームページや包装箱で注意喚起をしていないが、その理由を「ガラス製フィルムが割れた状態で使用が継続されることを想定していなかった」と説明。これまでに、ガラス製フィルムでけがをした消費者からの問い合わせはないという。一方、包装箱にけがの可能性を記しているレイ・アウト(東京)は、「けがの可能性を考慮し、手厚く注意喚起している」と説明。同社によると、飛散防止加工の効果で一般の割れたガラス製品に比べればけがはしにくいが、「指の安全のためには、割れてひびが入ったら貼り直す前提での使用を勧めたい」としている。(半田茂久)