静岡県内上場企業3月期 純益21%増 円安追い風、輸出型製造業が好業績
静岡県内に本社や主要拠点を置く上場企業の2024年3月期決算が21日までに、ほぼ出そろった。静岡新聞社の集計で、純利益の合計は前期比21・1%増と伸長し、円安を追い風にした輸出型製造業の好業績が全体を押し上げた。一方、非製造業は原材料・エネルギー費の高止まりを受け、苦戦する企業が相次いだ。 決算を発表した東証上場企業のうち、金融機関と国際会計基準(IFRS)採用企業、同日時点で未発表の電業社機械製作所を除く31社を集計した。 売上高合計は12・6%、経常利益合計は22・6%それぞれ増えた。スズキが主力のインドでの販売増などで連結売上高5兆円を初めて突破した。村上開明堂も初の1千億円に乗せるなど増収増益は昨年より9社多い18社。最終減益は9社、最終赤字は3社だった。 業種別では製造業(21社)が売上高13・5%増、純利益21・9%増。完成車メーカーの好況を受け、フジオーゼックスや共和レザー、ユニバンスなど自動車関連が軒並み堅調だった。はごろもフーズ、日本プラストなど4社は純損益が黒字転換した。 非製造業(10社)は売上高3・7%増、純利益9・7%増。エンチョーが最終赤字、スクロールとZOAは最終減益になるなど小売が苦しんだ。秀英予備校も最終赤字に転じた。 静岡経済研究所によると、24年4~6月期は部品の供給制約が解消に向かい、景況は底堅い見通し。一方で中国経済の低迷や中東、ウクライナ情勢を警戒する向きは根強く、各社は生産性向上と競争力強化を引き続き図る。
静岡新聞社