生活保護を受ける旨を大家さんに伝えると「代理納付を使ってほしい」と言われました。代理納付って一体何ですか?
生活保護受給者が家賃の滞納を防ぐための制度として、代理納付が利用できます。代理納付は生活保護を提供する機関が本人に代わって、家賃を貸主や住宅の管理会社へ支払う制度です。 ただし、家賃以外の水道光熱費などは代理納付できない、すでに滞納している家賃も代理納付できないなど、注意も必要です。 今回は、代理納付の概要や注意点についてご紹介します。 ▼「生活保護」の受給要件とは? 親族への扶養照会は必須なの?
代理納付とは
生活保護受給者が利用できる支援制度のひとつに代理納付があります。代理納付は、生活保護受給者が自分で家賃を支払う代わりに、生活保護の実施機関が貸主や住宅の管理会社へ直接家賃を支払う制度です。 もともと、生活保護を認められたら、住宅扶助として家賃に相当する額を受けられます。通常だと、住宅扶助を受け取ったら家賃の支払いは生活保護受給者が貸主もしくは管理会社へ行います。 日常生活に必要な費用や住宅扶助は現金で支給されるため、もし生活費が足りなくなった場合に、住宅扶助のお金を使用してしまう可能性がゼロではありません。住宅扶助でもらったお金を使うと、家賃として支払うためのお金が不足します。 こうした事態を防げる制度が、代理納付です。代理納付では、生活保護受給者にお金を渡さず、直接業者へ住宅扶助による家賃を支払ってくれます。 家賃滞納を防げるので、業者と生活保護受給者とのトラブル防止にもつながることがメリットです。お金を直接管理しなくてよいため、現金管理が苦手な方にも向いています。
代理納付の注意点
代理納付を利用できる条件(大阪市の場合)は、以下の通りです。 ・生活保護を利用している最中で家賃を滞納している世帯、および高齢などが原因で日常生活能力が低下しており、家賃を滞納するリスクがある世帯 ・住宅セーフティネット法の第21条第1項定められている登録事業者が提供しており、住宅セーフティネット法第10条第5項に定められている登録住宅(セーフティネット住宅)に新たに入居する生活保護受給世帯 ・ 保健福祉センターの所長が代理納付が必要と判断した生活保護受給世帯 条件に該当しないと、利用できない可能性があります。また、就職や生活保護受給者が亡くなったなど、さまざまな事情で生活保護の状態が変わったときは、代理納付がその時点でできなくなるケースもあるため、注意しましょう。 また、家賃の代理納付をしてもらえるのは、住宅扶助の金額です。住宅扶助として決められた金額を超えた分の家賃や、水道光熱費など家賃と関係のない費用はできません。家賃以外で必要な費用は自身で管理しましょう。 なお、代理納付を申請する以前に滞納していた分の家賃は、代理納付の対象外です。別途、自分でお金を用意して支払う必要があります。