台湾学生ら撤退後の新たな「3つの戦場」
中国との「両岸サービス業貿易協議」に反対して3月18日から立法院(国会に相当)の議場を占拠している学生らが、日本時間10日午後7時に議場から退去すること決めた。学生リーダーの一人、陳為廷氏は4月7日、議場の占拠は「わずか30秒で審議を打ち切ったことに対して、民主主義を堅持するための『守り』の姿勢だった」と位置づけ、これからは「守り」ではなく「攻め」の姿勢に切り替えて、台湾各地の支持者を組織化させ、講演、抗議集会などを行っていくと宣言。3月30日のデモに参加した50万人の参加者が、今後「組織化」すれば、政治社会に大きな影響力を及ぼすのは間違いない。
■議場に代わる新たな「戦いの場」 陳氏は、戦いの場が今後、立法院から「協議を監督する法律の成立」、「協議を監督する法律に基づく、協議の審議」、「国民憲法会議の開催実現」という「3つの戦場」に代わると説明した。そのためには、まず台湾各地に散らばっている支持者を組織化し、今週末から各地への講演やシンポジウムを行うという。今後は「草の根運動」を展開し、「全国のいたるところで種をまき、開花してほしい」と述べた。さらに、「民意を無視して馬英九総統の“操り人形”と化した国民党議員らへの抗議活動、いわゆる『盲腸切除運動(選挙区において票を入れないよう呼びかける運動)』を各地へ広げたい」としている。
協議を監督する法律については、「一つの中国」を建前としている行政院(内閣に相当)の法案に対して、学生側も中台関係を「一つの国と国」とする民間案を立法院に提出した。民間案は「国民による監督への参加、国会の監督、人権の保障、情報公開、政府の責任」という五つの原則を要求。しかし、馬総統は8日、国民党の内部会議で、「民間案は両国論であり執行できない」、「非現実的だ」、「内容的に行政権を上回っている」などと一蹴した。これに対して陳氏は、「学生側は議会に協議撤回を要求する」としたが、「最終的な決議は議会に委ねる」と考え、議場からの撤退を決めた。さらに「立法院長(議長)の『監督法律を審議より先に成立させる』という約束が破られた場合と、民間案が拒否された場合は、再び立法院へ突入するか、次は総統府を包囲することもありうる」という考えを示した。 ■法的責任からは逃げない? 台湾の法務部長(法務相に相当)・羅瑩雪氏は8日、学生たちに法的責任を追及する考えを示した。これに対して、李登輝元総統は9日、「学生たちは自身の利益のために議場を占拠したのではなく、国の未来のために行動した。これのどこが罪になるのか」と、涙を浮かべながら、政府側の対応の悪さと、学生らを「暴徒」と見なす馬政権を批判した。 (TomoNews/台湾)