草彅剛、役に育てられた2023年 稲垣吾郎と香取慎吾から受けた刺激、今年挑戦したいことも
稲垣吾郎の凛とした姿に教わった、わからないまま楽しむこと
――1月7日からは舞台『シラの恋文』の東京公演が始まります。京都、福岡と上演を重ねてきていかがですか? 草彅:舞台はお客さんが入って完成するものなんだなと実感しています。行間を埋めるのはやっぱりお客さんとの空気なので、それが舞台の醍醐味というか。最後に拍手をいただいたときに、“いいものを観たな”と思ってくれている感じがするんですよ。お客様の笑顔が一番の原動力になりますし、日に日に良くなっていく気がします。京都と福岡ももちろん良かったけど、今もどんどん進化しているから、千秋楽には別物になっちゃうかも(笑)。 ――シス・カンパニーの公演への出演は13年ぶりですが、舞台裏はとても和やかな雰囲気だとお聞きしました。 草彅:そうですね。みなさん本当にチームワークが良くて、真面目でやさしい人しかいないんです。でも、僕のまわりっていつもそういう人ばっかりで、恵まれているんだなって。しかも今回はリンゴとかニンニクとか出汁とかコーヒーとか……差し入れしてくれる人が多くて、いろんなものをいっぱいもらっています。ずっとこの舞台をやっていたいと思うくらい! ――実際に演じてみていかがですか? 草彅:物語に関しては掴みどころがないというか、あまり頭で考えるものじゃなくて、感じるものなのかなって。演出の寺十 吾さんが役者さんでもあるので、実際に演じて見せてくれたのがわかりやすかったですね。初めて僕も演出をやってみたいと思いましたよ。今まで思ったこともなかったんですけど、演出家って楽しそうだなって。まあ、思うだけでやらないと思うんですけどね(笑)。 ――『ななにー』では「稲垣吾郎に感化された」ともおっしゃっていました。稲垣さんから受けた影響はありますか? 草彅:吾郎さんのやっていた『多重露光』という舞台を観たんですよ。たまたま慎吾ちゃんと同じ日に。そしたら、ちょうど1年前の同じ時間、同じ日本青年館ホールで、慎吾ちゃんと2人で舞台『burst!~危険なふたり』をやっていたなと思い出して。偶然にも『シラの恋文』の東京公演も同じ場所だし、なんかいろんなものが重なってグワッとこみ上げるものがあったのかな。一緒にいたマネージャーはボロボロ泣いてました(笑)。僕も心では泣いていましたね、いろんなつながりがあるんだって感じて。その吾郎さんの『多重露光』も、掴みどころのない感じの作品だったんですよ。それが『シラの恋文』の稽古をしている僕には、すごく刺激になったんですよね。吾郎さんの演じ方とか、作品に対する取り組み方とかがいいなと思って。例えば、自分ではなかなか理解しづらいような設定があったとしても、そのまま楽しんじゃっていいんじゃないって。吾郎さんのあの凛とした役者としての立ち姿がそう思わせてくれました。観ている人に何かあるんじゃないかって思わせる魅せ方のテクニックみたいなものを吾郎さんの芝居から拾わせてもらいましたね。