HPVワクチンキャッチアップ接種

　子宮頸がんの原因となるヒトパピローマウイルス（HPV）感染を予防するワクチンについて、国は定期接種の機会を逃した高校2年生から27歳の女性を対象にした無料の「キャッチアップ接種」を2025年3月末まで実施している。3回接種が必要で完了には約6カ月かかるため、今年9月末までに初回接種しなければならない。福井県保健予防課によると、県内の対象者のうち1回目を接種した人は20・9％（3月末時点）。関係機関は、希望する人に早めの接種を呼びかけている。 　HPVワクチンの定期接種は小学6年生から高校1年生を対象に2013年4月に始まったが、接種後に体の痛みなど多様な症状の報告が相次ぎ、国は同年6月に接種の「積極的勧奨」を中断。その後、有効性や安全性が確認されたとして22年4月に積極的勧奨を再開した。積極的勧奨が中断されていた間、接種を控えた1997年4月2日～2008年4月1日生まれの女性を対象に、国は救済措置として公費で接種できる「キャッチアップ接種」を22年度から始めた。対象期間を過ぎて接種する場合は、最大約10万円（3回分）を自己負担しなけらばならない。 　福井市の福井赤十字病院は7月、職員を対象にしたHPVワクチンの講習会を開き、キャッチアップ接種の対象者や対象世代の子どもを持つ人ら約20人が参加した。産婦人科の山本真副部長（42）が、子宮頸がんやワクチンの特徴、ワクチン接種後に症状がでた場合の医療体制が県内で整っていることなどを紹介。「ワクチン接種と検診を受ければ子宮頸がんをほぼ防ぐことができる。ワクチン接種について検討してほしい」と呼びかけた。3回接種済みだという看護師の女性は「まだ接種していない友人に、ワクチンの大切さを伝えて接種を呼びかけていきたい」と話していた。 　ワクチンは産婦人科や小児科、内科で接種できる。キャッチアップ接種の対象者には住民票のある市町から接種券が送付されている。転入や紛失で接種券がない人は各市町の予防接種担当課に問い合わせる。福井県産婦人科医師連合は、ホームページでワクチンについて詳しく紹介している。