新大関大の里への期待と大谷翔平の記念ボール「記録は破られるためにある」
同年メキシコ五輪の同種目決勝でも9秒95で金メダルを獲得。電動計測で初めて記録された9秒台は以後15年間、世界記録として君臨した。人類で初めて10秒の壁を破った才能は五輪後、NFL(米プロフットボール)のマイアミ・ドルフィンズへ入団。ところが、速さを武器にかえることができず、実働わずか2季でフィールドから去った。
後年、定期的に発行されていたアメリカンフットボール雑誌の記事でハインズの回想をみた記憶がある。「何度も記録を破ってきたが、破っても破られても人生は続く。記録は塗り替えられるためにある。だが、人類初という称号は、生涯うせることはないと信じている」。
大谷は語るにおよばず、大の里にも長い土俵史に刻み込む新たな金字塔を打ちたててほしい。大記録誕生には類まれな天分と、本人の強烈な自尊心が不即不離にあると思うから。それが魅力として伝わって〝魔力〟を生むのだろう。(奥村展也)