「より多くの人が納得して、優れたゲームプレイを楽しめること」を追求する…アクションRPG『Horizon Forbidden West Complete Edition』PC版移植チームが注ぎ込んだ情熱とは?【インタビュー】
Guerrilla GamesとNixxes Softwareが開発し、PlayStation PC LLCをパブリッシングを担当したアクションRPG『Horizon Forbidden West Complete Edition』が、2024年3月21日にSteam/ Epic GamesストアにてWindows PC向けにリリースされました。 【画像全6枚】 筆者はもともとPS4/ PS5版を遊んでおり、先日にはプレイレポートを執筆しました。そして今回、PC版に携わったスタッフに向けてGame*Spark独占のオンラインインタビューを実施する機会をゲット。コンソールからPCへ舞台を移すにあたり、どのような点に注力したのか……気になるところをさっそく伺ってまいりましょう。 なお今回お話を伺ったスタッフはこちら(順不同)。 Jurjen Katsman氏 - Sr. Director, Studio Head(Nixxes Software) Craig Leach氏 - Senior Systems Programmer(Nixxes Software) Jeremy Laumon氏 - Principal Tech Programmer(Guerrilla Games) ――まずは、グラフィックス処理の最適化についてお聞かせください。私は、あえてミドル~ローエンドスペックのゲーミングラップトップで本作をプレイしましたが、驚くほど滑らかに動作し、グラフィックもコンソール版と遜色ないレベルでした。こういった最適化に伴い、技術的に苦労した部分はありますか? Jurjen:特別難しい点はなかったのですが、全体的に細かな作業が求められました。PC版では「ひとつのコンソールのみに向けた開発」ではなく様々なハードウェアを対象とするため、まずは“スペックの低いマシン”でのプレイにフォーカスしました。低いところからどんどん品質を上げていくようにして、全てのプレイヤーが同じような、かつ納得のいく体験ができるものを開発しました。 PSコンソール版からダウングレードしていくように開発を進めていったので、特に難点があったわけではないのですが、全体的に非常に細かい作業が必要でした。とはいえ、「様々なハードウェアに合わせなければいけない」という点においては、難しいチャレンジでした。 ――グラフィックの品質変更についても伺います。例えば品質を「低」に設定しても、質感がいくらか「マット」になる程度で、全体的な見た目が著しく損なわれるようなことはありませんでした。こういった設定による品質の差を補完するために、本作ではどのような工夫が施されているのでしょうか? Jurjen:グラフィックについて、まずはテクスチャについてお話します。テクスチャはグラフィック全体を構成する要素の“一部”になっており、またその役割自体も小さくなっていると思います。テクスチャ以外ですと、ジオメトリやシェーダー、モデルのマテリアルなど様々な要素が組み合わさることで、グラフィックが作られているわけです。 これを踏まえつつ、PC版の良いところでもあるのですが、どのような性能のGPUに対しても、それを補うようなプロセスを用意しました。そのため低い設定の解像度にしても、ハードウェアに合わせた中で品質のバランスが取れるのです。そういった部分が注意した点であり、PCならではの点ではないか、と考えています。 ――「PCならでは」という部分から派生して、ユーザーインターフェース(UI)についてお聞かせください。本作はもともと素晴らしいUIデザインを備えたタイトルですが、PC版では、例えば反映後の様子をリアルタイムで見せながら各種設定項目を選択させるデザインへさらに進化していて、驚きました。他にもUIデザインで力を入れた部分はありますか? Craig:UIについては、ご覧になったとおり非常に注力した部分です。PC版には様々なオプションがあるため、「設定の反映による変化をリアルタイムで分かるようにする」ということを移植作業の初期から考えていました。 他に考慮したのは、操作入力についてです。キーボード、マウス、またはコントローラーなど様々な方法がありますが、どれを使用しても自然なゲームプレイを楽しめるよう注力しました。例えば、コントローラーでは画面内の上下左右にしか動かせないものの、マウスであれば縦横無尽にクリックできますよね。そういった部分のギャップを無くして、自然に遊んでもらえるよう開発に力を入れていました。 ――最後にインタビューの締めくくりとして、JeremyさんにGuerrilla Gamesスタッフとして「“移植作業が完了したPC版『Horizon Forbidden West Complete Edition』” を初めてプレイしたとき」に感じた印象をお聞かせください。 Jeremy:開発の各段階からフォローしつつ本作の進捗を見てきたので、「最後にいきなり完成品を見た」という訳ではないのですが、やはり非常にハッピーでした。 ちなみにチームメンバーのひとりで、ウルトラワイドモニターを持っているスタッフがいたので、皆で集まって彼がプレイする様子を見ていました。普段、通常のモニターサイズで見ていたものがウルトラワイドの画面で表示されていることに、チーム一同驚きましたね。スムーズな動作でしたし、グラフィックの質も期待以上のものが見れて良かったです。 Jurjen:私も同様に、開発の各段階でプレイスルー(※一通り遊ぶこと)はしていました。ただ、ゲーム開発者としての心構えとして「常にゲームをより改良して、より良いものを作っていきたい」と考えています。発売ギリギリまで、できるだけ良いものを作りたい、そう常に感じています。しかしながらプレイヤーの反応がもちろん一番大事で、発売したからといってそれで終わり、という訳ではありません。プレイヤーの皆さんの反応を見ながら、特にPCは環境も様々なので、「より多くの人が納得して、優れたゲームプレイを楽しめること」を目指しています。 Craig:私も、どちらかと言うと開発チームの気持ちよりも、プレイヤーの気持ちが一番大事だと思っています。発売してからもレビューやSteamに寄せられたコメントをフィードバックとして受け取っていますし、可能であればパッチ等によるアップデートで対応していきたいですね。こういう開発側の気持ちは永遠と続くものですが、最終的には「自分たちのゲームを購入してくれたユーザーの皆さんが、満足して遊んでくれているのかどうか」という部分を追求していけたら、と思います。 ――本日はありがとうございました! 限られた時間の中でのインタビューでしたが、チームの皆様が最新技術を取り入れるべく研磨しつつ、同時にプレイヤーを第一に考えてゲーム開発を進めようとする情熱が伝わってくるようでした。コンソール版からの移植タイトルでは、特に最適化についてスムーズなスタートダッシュを決めた作品だと思われます。 この意味において今後、Nixxesチームが携わる移植タイトルにも期待が持てそうです。ともあれPC版『Horizon Forbidden West Complete Edition』は、Steam/ Epic GamesストアにてWindows PC向けに配信中です。
Game*Spark 麦秋
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